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ショートショート

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5秒で結末を迎える140字小説〜中編小説まで「ふふっ」「おおっ」「なるほど」「そう来たか」と思える作品をまとめています!
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#140字小説

『らしさ』ショートショート1

「最近のお前はさぁ、なんていうか、らしくないぞ。元気ないのか?ん?冗談言ったり、笑顔振りまいたりするのはどうした?営業成績にも出てるぞ。悩んでることがあるなら話してすっきりさせよう」 今までは達成できていた営業目標の未達が続き、部下の業績達成が上司の評価に繋がることもあって、上司が声をかけてきた。 「いえ、大丈夫です。今月は必ず達成してみせます」 「そうか。じゃあ、明日までに達成させるためのプロセスまとめて、形式は何でもいいから俺に提出してくれ」 「わかりました。明日

『星になる日』#ショートショート

「星になる準備はできたかい?」 20歳を迎える日。選ばれし者は儀式を執り行われる。 「はい。大丈夫です」 「では、ゴブレットを手に取り飲むのじゃ」 「はい」 「いけるかの?」 「緊張します。どんな味がするのですか」 「最初は苦みを感じるじゃろう」 「いきます」 丸くなるな、星になれ。サッポロビール。 「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「 【あとがき】ビールを飲み始めただけのお話 「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「 366日140字の物語 (

『ノリハリ』#ショートショート

「ノリの悪いパリピって、海苔のない海苔弁みたいな感じだよね」 比較対象として正しいのかを考えたら負けなやつだ。 「ノリの悪いパリピは、盛り上がるときに全力で盛り上がる系だと思うんだよね」 2人の会話が興味深い。 「メリハリか!」 「そう!」 共鳴する2人。勢いそのまま渋谷駅に降りていった。 「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「 【あとがき】海苔のある、海苔弁。 「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「 366日140字の物語 (140字の物語366作、

『定休日』#ショートショート

「美容室は月曜休み、不動産は水曜休みが多いから、間を取って火曜休みにしようか」 間を取る意味が全く分からないけれど社長は絶対だ。 「火曜定休にすると困る人もいそうですが定休日にしますか」 「よし。決まりだ。そうしよう」 こうして、街で唯一のタクシー会社が火曜定休に。 ノリで、乗れない火曜。 「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「 【あとがき】常識を、破る。 「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「 366日140字の物語 (140字の物語366作、詰め込み

『秋が欲しい』#ショートショート

「秋が欲しい」 人生で贈ってきた誕生日プレゼントを思い返しても一番難しいお願い。 「秋って、季節の?」 「そう。春夏秋冬の秋。夏のほうが良かった?」 夏だったら贈りやすいなんて話じゃない。 「いや、どっちも変わらなくて」 「じゃあ秋を頂戴」 「分かった。秋を贈ろう」 そして秋がなくなった。 「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「 【あとがき】春夏冬へ。 「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「 366日140字の物語 (140字の物語366作、詰め込

『エンジョイ商法』#ショートショート

「やられた?」 「やられた。気づいたときにはすでに遅かった」 「例のエンジョイ商法か」 「巧妙な手口だよ」 巷ではエンジョイ商法が流行っている。 イベントに参加すると理由もなくめちゃめちゃ褒められるらしい。 日常では満たされない自己肯定感が満たされまくる。 楽しくてまた参加したくなるのだ。 「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「 【あとがき】悪いことは何もないのに、悪いことしているようエンジョイ商法。 「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「 366日

『憧れのタワマン』#ショートショート

「タワマンに憧れて」 「お金持ちの象徴的な」 「タワマン住んでるって言えたらカッコいいなと」 「わかる。とってもわかる」 「理想はあるんだけど現実はなかなか厳しい」 「お金を稼がなきゃいけないからね」 「それもあるんだけど」 「タワマン住むならパートナーが欲しいとか?」 「高所恐怖症なんだ」 「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「 【あとがき】高所恐怖症、克服するか、諦めるか。 「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「 366日140字の物語 (14

『ととのう』#ショートショート

ととのう。 部屋は散らかり放題。 LINEは溜まりまくり。 職場の人間関係はぐちゃぐちゃ。 仕事のタスクは渋滞。 やりたいことはあるけれど、やらなければならないことに押しつぶされる日々。 ととのうとは正反対の暮らし。 「みだれる、だね」 同僚の一言が的確。 サウナから出るのが怖くて、熱波師に転職した。 「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「 【あとがき】ととのいました。 「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「 366日140字の物語 (140字の

『20代でやりたいこと』#ショートショート

20代のうちにやっておきたいこと。 「転職」「結婚」「出産」「海外旅行」。 人それぞれで色々出てくるものだ。 節目を原動力にして最高の転機にしたいらしい。 「30代になっても別に何も変わらないぞ?生きたいように生きろ」 先をゆく先輩からのアドバイス。 「飲み会」 陰キャの私が20代でやりたいこと。 「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「 【あとがき】どんなときも、いくつになっても、今が一番若い。 「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「 【自己紹介】「

『報連相』#ショートショート

「結論から話せ」「簡潔に話せ」 仕事で言われすぎてさすがに習慣化されるようになった。 「確認です。職場恋愛についてです」 「職場恋愛?何かあったか?」 「コチラではどれくらい容認されますか?波紋を呼びますか?」 「健全な恋愛なら大丈夫じゃないかな」 「分かりました。報告です。先輩、好きです」 「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「 【あとがき】結論から。 「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「 【自己紹介】「ふくふく」って何者? ★共同運営マガジン、

『代行』#ショートショート

「僕は昔、退職代行を使って仕事を辞めてました」 「意外です!現在はオーナーが、過去に退職代行を使うなんて」 「おかげで気づけました。仕事や面倒ごとは自分じゃない誰かでも出来るのだと」 「なるほど?」 「会社が自分に合うか分からないなら作ればいいと」 「それで代行する人を管理するオーナー」 「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「 【あとがき】「めんどくさい」が、ビジネスになる。 「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「 【自己紹介】「ふくふく」って何者?

『ネオ・チェキ会』#ショートショート

「通常のチェキは500円です!」 「プレミアムチェキはいくらですか?」 アイドルと写真を撮るのにも色々なプランがあるのか。スタッフとファンの掛け合いを眺める。 「ハイタッチ付き1000円、サイン付き1500円、あごクイ罵られは2000円ですね」 オプションのクセが強すぎる。 肩車チェキも!? 「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「 【あとがき】一瞬を、一生に。 「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「 【自己紹介】「ふくふく」って何者? ★共同運営マガジ

『恋敵はガチャガチャ』#ショートショート

「ガチャガチャはいいよね。そこにいるだけでチヤホヤされて」 「どしたどした。恋愛をこじらせ過ぎてガチャガチャを仮想敵にし始めたか」 「それに比べて私は、話せば話すほど人が避けますよっと」 「どしたー、悩みきくぞー?」 「ガチャガチャはワクワクするのに私は」 「比較対象が斬新すぎて面白いよ」 「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「 【あとがき】ガチャっと回して、ポンっと出るくらい恋愛も簡単だったなら。 「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「 【自己紹介】「

『せんこう』#ショートショート

俺は蚊。 人間の血を吸って生きている。 父さんはヴァンパイア、母さんは人間。 「お前は息子ではない!」 父さんに言われ続けている。 「大丈夫よ。私の血を吸いなさい」 母さんは優しい。 「街は危ないから出てはだめよ」 約束を破り街へ。 遠くに火の付いた緑色の渦巻きが。 近づく。 そして意識を失った。 「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「 【あとがき】血の血族。 「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「 【自己紹介】「ふくふく」って何者? ★共