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ニャン太がくれた、最期の言葉。

「ニャン太くん 天国に旅立ちましたよ」

朝10時頃、私は友人の家で訃報を受け取った。
「ニャン太、死んじゃった」
泣いたりもせず、大きな声を出したりもせず、「ああ~そっかぁ…」と言いながら、帰る準備をした。


ニャン太は、17年前に我が家にやってきた猫です。
野良だったニャン太を、妹が拾ってきました。
12年以上一緒に暮らしたけど、一人暮らしを始める妹に連れていかれてニャン太と離れ離れに。当時の私は”ニャンタロス”になりました。

今は数か月に1~2度、妹に連れられてきた時に会える程度。
そんな生活にも少しずつ慣れていきました。
そして、だんだん体重が減り、足腰も弱っていくニャン太を見て、こんな日がいつか来ることも覚悟していました。
でもね…それが今日だなんて、こんな突然だなんて、思っていなかったんだ。だって、2か月前に会った時も元気だったじゃん。

そんなことを考えていると、地下鉄でうるっとしそうになった。
いかんいかん…。
友人の家から自宅までは、2時間ほどかかった。
頭がうまく働いていなかったので、反対方向の地下鉄に乗ってしまったりして。こんなに家が遠く感じたことはないかもしれない。


13時、家に着いてしまった。
早く帰りたいと思っていたのに、いざ着くと怖くなる。

いつもみたいなテンションで家に入ってみる。
他の猫たちに陽気な声で話しかける。
でも、目に入ってしまった。
居間の片隅に、ニャン太のかごがあった。
身体を冷やされながら、ニャン太はそこに寝ていた。

ボロボロボロ…と涙が落ちた。

息をしていない。熱もない。肉球も真っ白。耳の先まで固くなって…
ああ、本当に死んじゃったの?
なんで?どうして?…どうしたの?
遅くなってごめんね…。


2024年7月14日。
0時30分頃、ニャン太は妹に見守られながら旅立ったそうです。
その日もとても元気で、いつもと変わりなかったそうです。
でも、夜中に吐く音が聞こえて妹が見に行くと、ニャン太が倒れていて。体をガクガクさせて、そのまま…。
17歳。人間でいうと80代。
天寿を全うしたのだと思います。


火葬まで、あと8時間ほど。
残された時間をどう過ごそうかと考えた時、
私は紙と鉛筆を用意していました。

ニャン太との最後の時間に描いた絵。

絵を描くというのは…
相手と向き合うということ。
長い時間をかけて、1つ1つ見つめて、語り合うことなんです。
だから最後の時間、私は描きたかった。

おひげが長くて立派だね。
耳の下の毛の色、きつね色でおいしそうで大好きだったよ。
ちょっぴり黄ばんだ手も、長生きの勲章だね。
描いているうちに、鼻の色もだんだん黒ずんできたね…。

絵にすると、色をのせると、ここに生きているみたいで。
私のニャン太への思いが、一筆、また一筆と、命を宿していくような…。
描いていると、不思議と温かい気持ちになれました。


他のニャンズたちも、ニャン太にお別れを告げます。

ニコちゃん(左)とニャン太(2023年)

ニャン太はニコちゃんと仲良くなりたくてよく話しかけていたけど、
ニコちゃんは超がつくほどのビビりで、なかなか心を開けなくて。
ニコちゃんはニャン太の亡骸を見た時、少し戸惑いつつも、最後の最後まで「シャー!」でした。
怖かったのかもしれないし、「死んでんじゃないわよ…!」という気持ちだったのかもしれません。

新入りのスコちゃんは、ニャン太が大好き。
「ニャン太おじちゃん、どうして動かないの?」という風に、何度も顔にちょんちょんと触れていました。

ニャン太にイタズラして叱られるスコ(左)(2023年)
ニャン太おじちゃんが大好き(2024年)


火葬の前に、名残惜しくてニャン太を抱きました。
全身が硬直していて、ぬいぐるみよりも硬かったです。
身体も随分と軽くなりました。
足腰が弱くなってからは、抱っこすると(痛いのか)怒られましたが、
今日は静かだね。

21:00。
ニャン太のかごをきれいなお花でいっぱいにして、ニャン太を見送りました。


そろそろ火葬場に着いたかな…という時です。

「ニャー!」

という声が、火葬場の方向からしました。
あれはニャン太の声でした。
それも、久しぶりに聴いた、若々しいニャン太の声。
空耳かな、と思ったけど、妹にも聞こえたそうです。
私には「またね!」と言っているように聞こえました。
ニャン太が、このニャン生に満足をして天に昇っていったのを感じました。


ニャン太が死んだら。
きっとショックでショックでしんどいだろうなと思っていました。
でも、私は笑顔で過ごせています。
離れて暮らしていたから、「また帰ってくる」という感覚が残っているだけかもしれないけれど。
長く苦しむことなく、旅立っていったから。
ニャン太が「またね!」って言いに来てくれたから。
最後に話したかった、という私の思いを叶えてくれたから。
きっとまた、どんな形かはわからないけど、必ず会えると思えたから。


ニャン太が亡くなる数時間前、妹がツナ缶を開けるとニャン太が走ってきたそうです。
私「ニャン太、最後にいいもの食べさせてもらえてよかったね。」
妹「いや…私のツナ缶だから…ニャン太は食べてない…。」
という会話で、火葬前にみんなで笑っちゃいました。
あーー最後までニャン太らしいね。
いつもこうして、家族に笑顔をくれていたね。
17年間、たくさんの幸せな記憶をくれて、本当にありがとう。

ニャン太、ゆっくり休んでね。
私も自分の人生を目いっぱい楽しむから。
笑顔で再会しようね。


もうニャン太の写真が増えていくことはないけれど。
だからこそ、与えてもらった幸せな思い出を大切にしていくよ。

今まで、画面の向こう側からニャン太を可愛がってくれた皆さま。
本当にありがとうございました。

またね!



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