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読書めも 清水亮著『検索から生成へ 生成AIによるパラダイムシフトの行方』

私の読書メモを元にしてまとめてみました。実際に書かれている内容と異なる箇所があるかもしれません。面白そうだと思われましたら、もとの本を読んでみてください。

WWWの誕生と検索エンジンの成長

1991年、米ミネソタ大学が開発したGopherは、サイト上に保存されている論文を検索するためのテキストベースのシステムでした。

テキストベースだったため、操作を覚える必要があり、また、参照された論文は改めて検索し直さなければ参照できませんでした。

1993年、ティム・バーナーズ=リーによって参照をリンクするWWW(World Wide Web)が導入されます。更に、マーク・アンドリーセンによって画像が表示できるように改良したNCSA Mosaicを開発しました。

このアプリケーションは、人力によるディレクトリ検索Yahoo!ができたことで、更に人気が広がります。

次に登場したロボット検索エンジンは、検索結果にスパムが多く、Yahoo!から乗り換えるほどの魅力はありませんでしたが、Webページの価値を測定し検索結果に反映する、Googleが出現したことで、状況が変わりました。

更に、Webブラウザ競争が激化する中で、デフォルトの検索エンジンをGoogleにすると収益が得られるため、ブラウザの標準の検索エンジンとなり利用が拡大しました。

検索するということは、何かをしたい時、検索キーワードを考えた後で検索します。そして、表示されたページを見て理解し、行動します。

検索エンジンは、この中の検索する部分だけを担当していますが、AIが発達すると、検索キーワードを考えるところから、表示されたページを見て理解する部分までをAIが処理してくれるようになります。

AIと学習

人工ニューラルネットワークとは、手順を説明することなく、入力と欲しい出力だけを示せば、その過程を自動的に学習する機械です。

近年、人工ニューラルネットワークの研究が飛躍的に加速してきた要因は、インターネットの発達にあります。膨大なデータセットをネット上から利用できるようになったのです。また、ディープラーニング強化学習などの高度な学習アルゴリズムが考え出され、GPUの高性能化、低価格化による計算能力の上昇。更に、オープンソースツールや共有データセットなどによる共同研究が行えるようになったことも大きな要因です。

生成Aは、学習したデータをファインチューニングで微調整します。この作業には、膨大な計算能力が必要となりますが、LoRA(Low-Rank Adaptation)技術を使うと、人工ニューラルネットワークの重要な部分だけを差分として学習できるようになり、高速に処理でき、また学習後のデータも小さくできます。

そして、蒸留という工程では、高性能なAIが教師となり、小規模なモデルが生徒AIとなって学習させます。学習結果として作成されるデータは、更に小さくでき、蒸留による性能の低下はほとんどありません。

生成AIには、「世界に究極のAIが1つだけあれば良い」という潮流と、目的別やユーザー別にカスタマイズされた、多様性のあるAIという2つの潮流ができています。

AIの問題点

AIには、現実には存在しない情報やパターンを生成または推測する「ハルシネーション(幻覚)」という現象が発生します。

ハルシネーションが混入し汚染されたAI生成コンテンツは、人間にとってだけでなく、AIにとっても脅威となります。原理的にいって、ある文章がAIによって生成されたものかどうかを自動判別することは不可能です。そのコンテンツでAIが再度学習した場合、誤りは拡大してきます。

ChatGPTには、強化学習に人間によるフィードバックを組み込んだRLHF (Learning from Human Feedback) が取り入れられています。しかし、人間の作業がコストを高くしてしまします。そこで、別のAIがチェックを行う仕組みも考えられます。

また、倫理的な問題も発生します。AIは、自分の発言に責任を持たないため、GPT-3をそのまま使うと危険な発言をすることが少なくありません。その危険を防ぐ「ガードレール」のようなシステムも開発されています。

生成AIの活用

ビジネスにおいては、プロジェクト管理、企業の意思決定や人事、企画作成などで役に立ちます。

日常生活においては、メッセージの作成などのコミュニケーション、欲しいコンテンツを自動的に作ってくれるエンターテインメント、何か行動する場合のガイドブックを作成してくれるプランニングなどの利用が考えられます。

また、働き方を大きく変えることにも利用されています。

UberEatsでは、注文があると、配達員のアサイン、調理、配達、支払いというプロセスを分解し、それらを適切に配置したマイクロプロジェクトを作成します。全体のミッションを効率的に動かし、各構成員の満足度を高めます。

高齢化対策においても、さまざまなサポートが考えられます。

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