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読書めも 橘玲著『世界はなぜ地獄になるのか』

私の読書メモを元にしてまとめてみました。実際に書かれている内容と異なる箇所があるかもしれません。面白そうだと思われましたら、もとの本を読んでみてください。

キャンセルカルチャーの広がり

かつては芸能人やスポーツ選手、芸能人などの有名人が対象だったキャンセルカルチャーは、SNSの広がりによって、いつ自分が巻き込まれてもおかしくない時代になっています。

本人に明らかな非があるケースだけでなく、意図的な編集や人格プロデュースなどの方法を誰でも行えるようになり、エンターテイメント化しています。それに反論しても、感情が絡んだ道徳的議論となって、さらに炎上してしまうことが少なくありません。

文化的要因

イギリスでは、ステイタスの高い集団に属するものはより健康で長生きし、ステイタスの低い集団に属するものはより不健康で短命なことが示されています。

日本の調査では、「管理職・専門職」の死亡率が「農業従事者」に次いで高く、「肉体労働系」や「事務・サービスなど」を上回るという逆の結果になっています。そして、「下級熟練労働者」つまり平社員の死亡率は、「管理職・専門職」の約7割と最も低くなっています。

この結果から見ると、日本の「管理職・専門職」はステイタスが高いのではなく、逆に下がっているのではないかと思われます。

ステイタスを上げる方法

ステイタスを上げるには、「成功」「支配」「美徳」の3つの戦略があります。

このうち、一番手軽に取り掛かれるのは「美徳」ですが、この戦略には更に効果的な戦略があります。不道徳なものを探し出し、「正論」を振り翳して叩く事です。自分の道徳的価値を相対的に引き上げ、美徳を誇張することができます。

ヒトの脳には、不道徳なものを罰すると快感を得るように、生まれながらにプログラムされているため、「正義というエンタテインメント」に酔いしれ、エスカレートしていきます。

SNSの炎上を研究する山口真一は、炎上に加担するのは「男性」「世帯年収が高い」「主任・係長クラス以上」という属性の持ち主だと言っています。

日本の「管理職・専門職」の「男性」にとって、「道徳警察」は、自身の生命を維持するための大切な活動になっているのです。

地雷原には近づくな

「道徳警察」を騙る「極端な人」に絡まれないようにするには、「個人を批判しない」ことが大切です。また、発言内容を意図的に切り抜きされないよう、「自分がリベラル(フェアネス)の立場で発言していること」を常に明確にしておくことが大切です。


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