エレベータの操作方法
エレベーターの操作パネルには様々な機能がありますが、詳しい説明が添えられているわけでもなく、メーカーによっても表示や位置、機能が違うので、よくわからずに使っている人が大半だと思います。そこで、ちょっと調べてみようと思います。
エレベータ操作盤の名称
かご内操作盤
方向表示灯
位置灯
行き先階ボタン
ドア開放ボタン
ドア開閉ボタン
乗り場ボタン
方向表示灯
位置灯
呼び登録ボタン
操作盤の位置
エレベーター内の操作盤の位置自体も、右にあったり、左にあったり、両方にあったりします。
開閉ボタン
開閉ボタンにはいくつか種類があります。
文字も「あける・しめる」「ひらく・とじる」があったり、開閉ボタンの配置も左右逆になっていたり、階数ボタンの上だったり下だったりで、エレベーターに乗った瞬間に認識するのは難しかったりします。慣れている場所でも、つい慌てて反対のボタンを押してしまうことがあります。
協会標準は、「開」が左、「閉」が右のは位置で、階数ボタンの下に配置するとなっています。通常「開」ボタンのほうが目立つようデザインされていますが、「閉」のほうが「開」より押される頻度は高いと思います。
階数ボタン
階数の配置も、色んなバリエーションがあります。2列配置の場合の例を以下に示します。
協会標準では、一番左の「階数ボタンが2列になる場合は千鳥配列が望ましい。また、数字が小さい順に下から上に表示する。」となっています。今後、こちらに統一されていくことと思います。
到着音
エレベーターには到着したエレベータが上りと下りで到着音が異なるものがあります。
到着音が2連音で構成されており、上りのときは2音目が1音目より高く、下りのときは2音目が1音目より低くなるようになっています。4連音で構成されている場合もあります。視覚に障害を持つ方へ向けた機能ですが、残念ながら1音だけで到着を知らせている場合は、違いが出せません。
車いす用ボタン
車いす用ボタンは、車椅子に乗っている人が押しやすいように、「福祉仕様(車いす用)」として低い位置に設置されています。誰でも使いやすいユニバーサル仕様になっています。しかし、ボタンの位置だけでなく、エレベーターの動きも変わります。
運行スケジュールに割り込みがかかる
複数台のエレベーターがある場合、車いす用のボタンが設置されているものと設置されていないものが混在していると思います。車いす用の呼び登録ボタンを押してエレベータを呼び出した場合、車いす用のエレベータが該当階に到着するように割り込みが発生します。
通常運行において、エレベーターの運行スケジュールは適切に配分されるようになっています。車いす用予備登録ボタンを押されると、全体的な運行の効率が落ちます。
また、通常の呼び登録ボタンと車いす用の呼び登録ボタンの両方を押した場合、車いす用エレベーターと通常のエレベーターの両方が止まることがあります。人が誰も出入りしないのに途中の階で止まってしまうのは、精神的にも良くないですし、電力的にも無駄です。
扉の開閉時間が長くなる(通常4秒→10秒)
カゴ内の車いす用ボタンで行き先階ボタンを押した場合、扉の閉まる時間が遅くなるため、他に乗っている人がいる場合、必ず「閉じる」ボタンを押すことになります。また、乗っている人がいなくなった場合、扉が閉まって別の階に移動するまでの時間が長くなります。エレベータによっては「車椅子利用時以外のボタン押し禁止」の注意書きがされている場合があります。
また、扉の開閉動作がゆっくりになります。
「このボタンを押すと扉の開放時間が長くなります。」の説明書きがあってほしいと思います。
段差自動修正
通常気がつくことはないと思いますが、エレベータの箱と各階のフロアーの間に段差ができないよう自動修正をしています。これは、普通に嬉しい機能です。
ペットボタン
マンションのエレベーターに「ペット」というボタンがあり、初めて見る人には意味がわかりませんね。
これは、ペット可のマンションでペットが同乗している場合に押すことで、乗り場のパネルに表示される仕組みです。以下のような表示が出るそうですが、まだ「ペットと同乗するときはボタンを押す」ことを意識する人は多くないでしょうし、「そもそも何のことだか分からない」という人が第多数だと思います。
このボタンには、ドアの開閉時間を伸ばしたり、開閉の動作を遅くするという設定をしている場合もあるそうです。
私が見かけたのは「ペト」と書いてあって、いよいよ意味が分かりません。押してもどこにもサインがでないようです。開閉時間にも、スピードも変化ないようでした。
換気、イオン発生ボタン
新型のエレベーターには、換気ボタンを押すとエレベータ内の空気をリフレッシュしてくれる機能があるようです。除菌、消臭効果のあるイオン発生装置を起動するボタンのあるものもあるようです。
日本エレベーター協会
国土交通省が所管する一般社団法人。昇降機に関連する法規の普及徹底をはかり、調査分析を行っています。エレベーターの協会標準(JEAS: Japan Elevator Association Standard)を策定しています。
エレベータの標準は、グローバル基準を勘案しています。
アメリカの「閉じる」ボタンは機能しない
アメリカでは、「閉じる」ボタンをほぼ押さずに放置しています。アメリカ・ラスベガスのエレベータの「閉じる」ボタンを一番使っているのは日本人という説もあります。(信憑性はない)
アメリカでは、死傷者保護のための法律があり、エレベーターのサイズやボタンの位置、点字義務、ドアが開いている最低秒数などが規定されています。その中で、「閉じる」ボタンが機能しないようにすることが決まっています。
しかし、実際アメリカのエレベーターには未だに「閉じる」ボタンがついており、ボタンを押す人もいます。その理由は「気休め用」だったのです。機能しなくても、ボタンがないとイライラする人がいるということです。
この「気休め用」のボタン、エレベータの他にも、信号機の歩行者用ボタンとか、空調の温度設定などにも見られるとか。自分の身近にも「気休め用」のボタンを設置してみることをおすすめします。
「閉じる」ボタン論議
通常運転において扉が閉まる時間は4秒あるいは5秒であり、押したところで安全のためすぐに反応するわけはなく、さほどの差はありません。とにかくすぐに「閉じる」ボタンを押したがる様子を「日本人はせっかち」という人もいます。
なぜそんなに押したがるのか。自分の労力が必要となりますし、電力も余分にかかります。今現在の情勢で言えば、ウイルス等の感染リスクが高まるだけマイナスです。ところが、車いす用のボタンが押された場合、開いてる時間が10秒にもなるため、「閉じる」ボタンを押さざるを得ません。不必要に使用してほしくないと思うところです。
エレベーターのボタンの今後
エレベーターの操作盤の意匠などを手掛ける島田電気製作所が、エレベーターのボタンのアイデアを募集したところ、677のアイデアが集まったそうです。それだけ日常的に関心が高いとともに、まだまだ使いづらいと思っている人も多いということだと思います。
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