「ショムニ」を考える(第三話~第十一話視聴後)
やはりこのドラマは日本ドラマ史上非常に稀有な存在だと思う。
まず一番の特徴としてチームの重要性を認識していることだろう。互いの弱みを相互補完する形で、互いの強みを作用させるということを自然に行っていることがショムニの成立要件である。
また話型としての特筆すべき点はその落としどころの独特さだろう。
ざっと特徴を並べるとこんな形になる。
→正直さ。素直さ。本音。(明るさ)。無縁主義。
さらに言えばショムニの満帆商事内の立ち位置は一見「汚れ仕事」を押し付けられているだけに見えて、物語が進むにつれて逆に「頼るべき存在」「なくてはならない存在」にみえるのは、とある大手広告会社を思い起こさせるようで興味深い。
結局、会社であれ何であれ、組織においては何らかの汚れ仕事というか、雑務的な仕事というのはどうしても発生してしまうものなのである。逆に言えば、そのような「何らかの秩序活動に伴う無秩序のゴミを片付ける」仕事が機能しなければ、その組織が果たそうとしている主たる任務もまた成り立たないという構造になっている、というのは本当のところだろう。
これを認識している点で、ショムニは稀有なのである。
パソコンが導入されてから特に顕著になったと思うのだが、仕事を個人的にやるようになり、チームとして行うようにならなくなったこと。目の前にあるもの(とくに数字の羅列)にばかり気をとられて、それを支えている現場の雰囲気や感覚を忘れてしまっていること。これが組織が機能しなくなっている要因の多くを占めているのではないだろうか。
「楽しくない仕事は仕事ではない」
坪井の言葉は反時代的だから響いたのかもしれない。そしておそらくこの言葉自体は今も有効である。
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