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大学生発 福島キャリア新発見④ 株式会社タンガロイ 鈴木郁哉さん

記事: 安藤 禎基(福島大学2年)
サポート:中里友香(東北学院大学 1年)
取材日:2022年5月19日

『一歩ずつ、いわきから世界へ』

 今回、取材をさせていただいたのは株式会社タンガロイに2019年に入社し、現在入社4年目として活躍されている鈴木郁哉さん。鈴木さんは、福島県いわき市の出身で大学進学を機にいわき市を離れるも、就職ではいわき市に戻る決断をしました。高い技術力のあるメーカーを志望していたという鈴木さん。なぜ地元いわきを選んだのか、なぜタンガロイを選んだのか、鈴木さんの想いに迫り、私自身の大学生活、そしてこれからについても向き合っていきたいと思います。

タンガロイとの出会い

 鈴木さんは早稲田大学への進学を機にいわきから東京に上京します。就活では高い技術力のあるメーカーで働きたいと考えていた鈴木さん。都内の企業を中心に就職先を探していく中、合同説明会で地元いわきに本社を置き、超硬合金を使用したドリルなどの工具の製造・販売を主な事業とする「株式会社タンガロイ」に出会います。就活を始めたころはいわきに戻る意思はなかったと鈴木さんは語りますが、地元にいたころから「タンガロイ」という名前を聞いたことがあり、業界のなかでもトップの数多い新製品を世に送り出し、高い技術力をもって世界を相手にビジネスをしているタンガロイはとても魅力的に映ったそうです。同業他社の選考にも応募したそうですが、最終的には技術力の高さと地元いわきから世界に展開していることがタンガロイを選ぶ決め手となったそうです。この選択を振り返るなかで、なんとなく地元いわきへの安心感にも惹かれるものがあったといいます。

指揮者のような仕事

 鈴木さんは現在プロダクトグループという部署でお仕事をされています。主に担当するドリル製品の売り上げ向上を目的とし、特に新製品などのプロジェクト企画を行い、開発や性能試験など製造にかかわる部分から、実際にお客さんに届ける販売の部分まで様々な部署とコミュニケーションをとりながら繋ぎ合わせる役割を果たしています。新製品開発のほかにも、営業担当者に対し、自社の工具のセールスポイントを伝えるセミナーを開いたり、過去の成功事例をもとに新規企業への販売促進を行ったりするなど、製品のことを知りつくし、社内の各部署の息を合わせていく指揮者のような仕事です。各部署とコミュニケーションをとっていく中では、うまく自分の意図を伝えられなかったり、自分よりも年上の方に指示を出さないといけなかったりと大変なこともあるそうです。しかし、何度も直接現場に出向いたり、丁寧に電話をしたりするなど密にコミュニケーションをとることを大切にすることで顔を覚えてもらい、 周囲からの信頼を得ていったそうです。

鈴木さんが担当されているドリルを実際に見せていただきました

目的を意識した行動

 担当する工具の「指揮者」としてプロジェクトを進行していくためには、プロとしてたくさんの知識が必要とされます。過去には自身の担当したプロジェクトがなかなかうまくいかず、先輩に相談しようと思うも、忙しそうにしている様子を見てためらってしまうことがしばしばあったそうです。しかし、先輩方はそんな鈴木さんを見て忙しそうな中でも進んでフォローをしてくださったといいます。時にはあえて厳しい課題を設定されることもあったといいますが、どれもが自分の成長に繋がっていると鈴木さんは振り返ります。そんな先輩方の背中から仕事を学んでいった鈴木さん。いまでは仕事の中で「目的」を意識するようにしていると語ります。「目的を捉えること」が自身の知識量や経験を増やすことに直結し、自己成長のうえで大切なのだと実感しているそうです。
 私自身も目的を見失ったまま行動をしてしまい、その結果失敗をしたことがあるので、まずは行動の目的をしっかりと捉えることがどのような場面でも重要なのだと改めて痛感しました。

勉強のためではなく、コミュニケーションのための英語

 日本国内だけでなく、アジアやヨーロッパなどを中心に海外企業とも幅広く取引を行うタンガロイ。もちろん、鈴木さんも海外のお客さんとやり取りをします。そのなかでは英語でのコミュニケーションが必要とされます。大学時代までしっかり英語を学んできた鈴木さんですが、毎日のように英語を使うことになるとは思っていなかったといい、時には、専門的な用語が出てきたり、相手企業の担当者も英語が母国語ではなかったりすることで、お互いの理解がずれるなどのトラブルになってしまうこともあるそうです。相手との会話はもちろん、周囲の先輩や上司の方々のように英語でのプレゼンや講話もしっかりとできるようになりたいという課題意識のもと、社内で実施されている英会話教室への参加などを通して、鈴木さんは積極的に英語の学び直しに取り組んでいます。
 私自身も大学で英語とドイツ語を学びましたが、「どうせ将来の使い道はないだろう」と思いながら授業を受けてしまっていました。しかし、実際には使わないと思っていたことも使う場面があり、「どうせ使わない」というよりは「どうせ使う」という意識を持ったほうが自分の将来に繋がると感じました。

「想定外」だったからこその「想像以上」

 鈴木さんは入社までの間、製造や開発、機械の動かし方や自動化といった製造技術に興味があり、開発部門などに配属されたらうれしいと思っていたそうです。そんな中、実際に配属されたのは現在のプロダクトグループという開発から販売までの一連をマネジメントする部署。当初は何をすればいいのか、どのような知識をつけることがいいのかがわからず、困惑することもあったそうです。しかし、先輩や上司の方々に支えられながら仕事を覚えていくと、社会のなかで「どのようにモノがつくられて市場に出ていくのか」という流れが徐々に理解できるようになっていったそう。いわば、ビジネスの上流から下流までをすべて見ることのできる部署に配属されたことは社会人としてとても得るものが多かったと鈴木さんは語ります。今後はタンガロイのなかでお客さんの想い付かないようなドリルを企画・提案し、お客さんに満足してもらえるような製品を販売していきたいと鈴木さんは志を語ってくださいました。また、将来的には、入社時にもともと興味のあった開発・設計 を担当する部署で働いてみたい気持ちもあるそうです。

様々な用途に合わせて形状が異なるドリル製品

「都会か地方か」という問題ではない

 現在、大学3年生で就活真っ只中の私は、都会の学生と地方の学生では就活に対する意識が大きく違うという噂を聞いていました。しかし、鈴木さんは都会の学生と地方の学生の就活に対する考え方に差があるわけではなく、あくまでその人のやる気次第だと話します。インターネットを通じて様々な情報を得られる現代。得た情報をどのように取捨選択して決断していくかが就活に限らず、ビジネスの上でも大事だとおっしゃっていました。
 技術力のある企業と聞くと私はどうしても都心の大企業が頭に浮かんでしまいます。しかし、都会の企業だけが技術を持っているわけではなく、タンガロイさんのように地方に所在している企業にも高い技術や魅力があると気付かされた取材でした。私も鈴木さんのように魅力ある企業と出会えるよう、「都市にあるか」、「地方にあるか」に縛られずにキャリアに向き合っていきたいと感じました。

株式会社タンガロイ
https://tungaloy.com/ttj/

発行責任者:一般社団法人 あすびと福島 代表理事 半谷栄寿
事務局長:同社団 國分隆成
http://asubito.or.jp/