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「最高の休息法」を読んで 23 脳内のうるさいサルを追い出す

ベトナム出身の禅僧で、世界的なマインドフルネス指導者であるティク・ナット・ハンは南フランスにプラム・ヴィレッジというマインドフルネスの研修所をつくりました。そこで行われる研修プログラムには丸一日を休息の為だけに使うレイジーデイ(lazyDay=怠ける日)が設けられています。
何も予定をいれずに、各自が歩行瞑想や軽い読書をしたり、家族へ手紙を書いたりすることになっています。

週末に「思いっきり休む(ダラダラする)ぞ!」と張り切って休んでも、翌日になるとなぜかいまひとつ疲れがとれてない・・・・なんて経験はありませんか?貴重な休日を無駄にしたようでとても残念な気持ちになりますよね。

常に脳内が雑多な考えで満たされている残念な状態をマインドフルネスの世界ではモンキーマインドと呼びます。サルが頭の中でキーキーとうるさく騒いでいるイメージです。このサルたちに静かにしてもらう方法がマインドフルネスの応用です。


突然ですが、自分が駅のプラットホームにいるところを想像してみてください。そこに電車がやってきます。キーキーとうるさいサルが乗っている電車です。
電車はしばらく駅に停車していますが、あなたはそのままホームに留まりましょう。しばらくすると電車はサルを乗せたまま去っていきます。次から次へと別の電車がやってきても、どの電車にも乗りません。
ずっとホームで電車の往来を見ています。

シンプルですがこれだけです。サルは雑念の比喩ですね。

ここで大切なのは「サル=雑念」に対して傍観者であり続けること。


普段、私たちはサルを積み込んだ電車がやってくると、なぜかそれに乗り込んでしまい、振り回されてしまいます。「自分自身もサルの一員」になってしまうのです。

本来、あなた自身はさまざまな考えの入れ物でしかありません。駅と電車を同一視するのが馬鹿げているように、あなたとサルを同じものとして見る必要はないのです。
どんな雑念でも一時的に脳を訪れる客でしかなく、あなたとは一切関係はないのです。

私たちは「考えている自分」と「考えていること」を区別しなければなりません。
「悩む」と「考える」が異なるように、
雑念(サル)まみれな「悩んでいる」状態と
自分の脳で考えている「思考」状態を同一視しないこと

「悩む」ことに1度ハマると思考がまとまらず同じところをループして堂々巡りをしてしまいます。


これに対して有効なのが「よく顔を出すサル(雑念)に名前をつける」事。
頭の中のホームにはさまざまな電車が来るようで、実はごく限られた種類の電車しか走ってこない、ということに気がつくはず。
しかも悪さをする電車はその中でもごくわずか。

繰り返し現れる電車に気がついたらラベリングをしましょう。
要は「考えに名前をつけることで認知のゆがみに気づきましょう」ということ。

中でもシンプルなやり方は「良し悪しで判断するのをやめる」事。
繰り返し現れる雑念はたいてい一定の偏見を含んでいます。
「○○はいい」「△△はダメ」といった価値判断が入り込んで、スムーズな思考を邪魔します。

マインドフルネスの基本はノンジャッジメンタル。価値判断を取り除くと、その認知には実は何の根拠もないかもしれません。その事に気がつくと、うるさいサルの電車はやがて脳のプラットホームに停車しなくなることでしょう。

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