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ピュ~ぴる

『オトトキ』の初日に行けないかわりに、松永監督の撮ったドキュメンタリー映画『ピュ~ぴる』を観た。『ピュ~ぴる』は公開当時ポスターだけ見ていて、ピュ~ぴる自身のビジュアルもすごいけど、この人を追いかけようと思った監督もどんな人なんだろうって思ったのは覚えてる。

ピュ~ぴると松永監督はもともと友達だったらしくて、公園とかアパートでふつうに恋バナとかしてるから、わたしも友達の輪のなかにいる気分で映画を観た。監督は客観性を保つために意見を言わないように努めているけれど、どうしてもピュ~ぴるに対する友情や親しみがカメラから伝わってくる。その感情はピュ~ぴるに対してだけじゃなくて、コメンタリーではお世話になった友達が映るたびにその人の名前をちゃんと呼んで感謝していた。

この映画がじわじわ口コミで評価されてきたのは、ピュ~ぴるのアーティストとしての葛藤、トランスジェンダーとしての葛藤を真摯に見つめてきたこと、ピュ~ぴるのつくる作品のすばらしさも当然あると思う。でもわたしがいちばんいいなと思ったのは、ピュ~ぴると監督が同年代の友達で、お互いが時間を共にしながら変化していく生々しさが映っていることと、撮っているまなざしがずっとあたたかいことだった。

このまなざしでイエローモンキーのことも撮ってくれているんだろうな、楽しみだな。

ピュ~ぴるの容姿は8年のあいだに激しく変わっていくけれど、横浜トリエンナーレに出品した「愛の生まれ変わり」のときの姿はとても美しかった。やぐらの上で赤い毛糸を編んでいる姿は男でも女でもなかったし、パフォーマンス中は研ぎ澄まされた妖しさがあった。そのあとも手術を繰り返して、身も心もどんどん変化していく。

わたしはいま働いてなくて、これからやりたいことをやろうって少しずつ動き出しているところ。怖さもあるけど、今日『ピュ~ぴる』を観て、自分の将来を予測するのはやめようと思った。何もしなくてもすべては変わっていくし、理想に向かって自分で変えていかなきゃいけないし。ただやり切ることだけ考えよう。 『ピュ~ぴる』は、元気を出したいときにくり返し観るお守りみたいな1本になりそう。

大好きなイエローモンキーと、すごく好きになってしまった松永監督の『オトトキ』もすごく楽しみだー。


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