日本政府再提出のNDCと反応

2020年3月30日に日本政府の地球温暖化対策推進本部が決定したNDCと、環境団体などの声明まとめ。(記録用メモ。必要に応じて加筆修正します)

■NDC(環境省の示すポイント要約)

①2030年度26%削減を確実に達成するとともに、中長期の両面で更なる削減努力をする。地球温暖化対策計画も見直す。②新たな削減目標の検討は、5年ごとの提出期限を待たず、エネルギーミックスと整合的に、更なる野心的な削減努力を反映した意欲的な数値を目指す。③2050年にできるだけ近い時期に脱炭素社会を実現できるよう努力する。

参考:地球温暖化対策計画(2016年5月閣議決定)

■反応・声明

以下、把握している範囲の反応・声明の抜粋とリンク

▼気候ネットワーク

「気候危機のさらなる深刻化を回避するためには(略)2020年に再提出するNDCで目標を大きく引き上げることが1.5℃の実現に決定的に重要」

「必要な削減量を基礎とするのではなく、エネルギーミックスの改定に沿わせるもので、無責任かつ危険な先送り」

「この5年間で省エネが進み、急速に再生可能エネルギーコストが安価になり、脱化石燃料の宣言や実践も世界中で広がっている。目標を据え置いたことは(略)5年間の歩みを無視したに等しい」

▼WWFジャパン

「日本が掲げる目標は(略)『著しく不十分』であり、世界の平均気温を3~4度上げてしまうと評価されていた」

「数少ない先行提出組の中で、世界第5位の排出大国である日本が、『目標を強化してなくてもよい』というメッセージを出すということは、国際社会で求められている脱炭素に向けてのリーダーシップとは真逆だ」

「エネルギー政策も含めた一体的な見直しを行う公開の場を設け(略)削減目標強化の議論を早急に開始するべき」

▼FoEジャパン

「次期NDCについては『エネルギーミックスの改定に整合的に』検討するとして、気候変動政策の策定プロセスを優先しないことを宣言しているかのような内容」

「2030年の温室効果ガス排出削減目標を、少なくとも『1990年度比50%の水準まで削減』に引き上げ、再提出すること」

「野心的な削減目標とあわせて、エネルギー基本計画およびエネルギーミックスも見直すこと」

▼350ジャパン

「日本政府がこうした要望(【編注】国内外からの削減目標引き上げの要請)に全く耳を傾けず、透明性の高い議論のプロセスを欠いたまま、何の引き上げも行わずにNDCを再提出することを決定したことは極めて遺憾」

「1.5度目標を達成するためには、2030年までに2010年比で少なくとも45%削減し、2050年までに実質排出ゼロを達成しなければならないとされています」

「速やかに透明性の高いプロセスで目標引き上げおよびエネルギーミックスのあり方についての議論に着手し、COP26までにより高い目標を再提出すべき」

▼気候変動イニシアチブ

「新型コロナウイルスの脅威に直面し、その克服にむけた戦いが世界各地で進められています。日々、明らかになってきている教訓は、地球規模の危機は、各国が一丸となり協調して取り組まなければ解決できないということ」

「『自国のエネルギー基本計画の見直しができないから、現時点で温室効果ガス削減目標を引き上げられない』などという理屈は、世界に到底通用するものではありません」

「このままCOP26を迎えれば、『脱炭素化に後ろ向きな日本』という評価が定着し、日本企業の世界的なビジネス展開への障害となり、中小企業も含めサプライチェーンからの除外という事態も招きかねません」

▼Fridays For Future Tokyo ※3月27日付け声明

「2030年の日本の温室効果ガス排出削減数値目標を大幅に引き上げること」

「化石燃料依存から卒業すること。再生可能エネルギーと省エネルギーを最大限推進すること」

「私たち若者と政策についての対話の場をつくること」

▼国立環境研究所 対話オフィス

江守副センター長「行政的に今はこれしか 出せないのがわかっていましたが、気候問題の政治的な優先順位が低いと思わざるをえない。社会の声を上げ続けていくことが大事です」


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