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ショートショート

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🎖️ ピリカグランプリ すまスパ賞|ショートショート|誰モガ・フィンガー・オン・ユア・トリガー

「私がピストルの引金を引くのは上司に頼まれたからなの。決して私自身が好き好んでではなく……」と彼女は呟き、静かに水を飲んだ。 「それが役割ですから」と僕は返したが、自分でも気の利かない発言だなと思いゲンナリした。それで慌てて付け加えた。「あなたのおかげで静止した世界が動き出すんです。その先には喜びも悲しみもあるけれど、それはあなたのせいじゃない。まずは誇りを持たないと」  彼女と僕は仕事仲間だ。だから彼女の苦悩も分かるつもり。上からの指示をこなす日々に嫌気がさすこともある。

プロフィール

はじめにショートショート 「2019年生まれ、火星のアウストラレ在住です」 「君、就活の場でふざけるのかね?」と面接官は厳しく問うた。と同時に、目の前の男は今までに見たことのない妙な髪型をしているな、と思った。 「いえ、これは事実なんです」と就活生は答えた。「早い話が、私は未来人です」 「……その髪型は未来で流行っているのかね?」 「あ、そうです。しまった……髪型もこの時代に合わせるべきでした……」 「しかし、なんでまた未来人様とやらがこの町工場で働きたいんだい?」 「順

🎖️ note×文藝春秋 投稿企画 #2000字のホラー ピックアップ|ショートショート|団地奇譚

 僕は3歳から15歳まで、九州の某県にある団地で暮らしていた。白い外壁に淡い赤の玄関ドア、灰色の共用階段。慈悲深く遊具の設置された広場もある。代表として百科事典に載せてもいいくらい、よくある団地だ。 「住めば都」と一口に言っても住宅の形態や場所によって享受される住み心地は大きく変わるのだろうが、先述の通り物心つく前から団地で暮らしていた僕には比較対象がないため、「こんなもんか」と思いながら過ごしていた。  思い返してみてメリットを書くなら、性質上ご近所さんが多く身近にいて遊び