🎖️ note×文藝春秋 投稿企画 #2000字のホラー ピックアップ|ショートショート|団地奇譚
僕は3歳から15歳まで、九州の某県にある団地で暮らしていた。白い外壁に淡い赤の玄関ドア、灰色の共用階段。慈悲深く遊具の設置された広場もある。代表として百科事典に載せてもいいくらい、よくある団地だ。
「住めば都」と一口に言っても住宅の形態や場所によって享受される住み心地は大きく変わるのだろうが、先述の通り物心つく前から団地で暮らしていた僕には比較対象がないため、「こんなもんか」と思いながら過ごしていた。
思い返してみてメリットを書くなら、性質上ご近所さんが多く身近にいて遊び