「マッドマックス:フュリオサ」考察・解釈

めちゃ面白かった。これから何回も見直す映画となるだろう。以下は僕なりの考察と解釈。

フュリオサは何故捕まったのか？

フュリオサが侵入者のバイクを壊そうとする導入。これは彼女が既に「鉄馬の女」だから。緑の地がバレないように、とにかく逃がさないように行動した。残念ながら見つかってしまったが。

ディメンタスが拷問を見せつける訳は？

フュリオサに拷問を見せつけるディメンタス。実にムカつく行為。フュリオサが2回共されたので、奴は毎回の拷問でやってるはず。これはディメンタスがやられたからでは？執着してるのでは？
　しっかしあの状況で助かるとは！助けがあるなんて考えなかった、生き抜くためならなんでもしたフュリオサの勝ち。間違い無く高橋ヨシキさんがミラー監督に語った感想が反映されている。
（宇多丸さんの軽いフュリオサ評にて「これヨシキさんじゃね？」ってディメンタスの髪が赤くなるところか？まさかね、とは思うものの、ストーリー上赤くなることに意味が見出せないため、この補助線があると納得できる）

逃げなかったフュリオサはどうなる？

フュリオサは母とジャックが危機に陥った2回共逃げることができた。しかし母の時は幼さゆえに逃げることができず、そして何もできなかった。ジャックの時は逃げなかったが救えなかった。しかし3回目。デスロードでは1人でも逃げられたがワイブスと共に逃げ、そして成功した。泣ける。

リクタスは何故フュリオサを連れ出した？

部屋に人形が沢山飾ってあったし、小さくて可愛いくて髪が綺麗なものが好きだから、愛でたかったから。自分には髪の毛ないし。ウォーボーイズにもないし。
　デスロードのフラジールは、小さいフュリオサと同じ環境だったはず。なのに意外とフランクにリクタスに声をかけたのは彼女達が意外と仲が良かったからでは？
(コミック無視の考察)

ガスタウンの暴動は策略か？

ガスタウンを手に入れたディメンタス。後半、部下の暴動によりにっちもさっちも行かなくなったように見える。実際フュリオサ達はこの暴動に尻尾を巻いて逃げ帰った。しかし後の展開を考えるとこれはディメンタスの欺瞞工作。ガスタウンを手に入れるために仲間も殺すくらいなので、騙すのはうまいのだろう。あれー？信じてないかなーって感じで仲間を打ち出したし、臨機応変に対応できる詐欺師。

→ディメンタスが老いてカリスマも低下して暴動が起き、起死回生の一手がシタデル砦攻略、というのが常套な解釈か。バレットタウン襲撃の人数も前半のシタデル砦攻略時より少なくなってたようだし。

カッコ良いウロボスさん

ガスタウン攻略で仲間を撃ったディメンタスを黒い角と仮面のウロボスさんは罵り、結局は仲違いして分派する。彼らはフュリオサ達を襲撃をするのだが、戦いを見るにかなりの強敵で、仲間思いのウロボスさんに有能な部下が数多くついて行ったことが伺える。ウェストランドに行くならウロボスさんの下につきたい。

緑の発煙弾の理由は？

ジャックが最後に緑の発煙弾を打ったのは、緑の地へ行けとフュリオサに伝えたかったから。
　しかしジャックは緑の地が目的地だと知っていたのか？どうやって知った？会話で語られたか？

　皆が感じるところだが、デスロードでフュリオサはマックスにジャックの姿を見たのだろう。

木で復讐？

フュリオサは復讐を遂げる。色々な方法が考えられたが長く苦しむ方法を選択した。母からもらった種子をジャックといたあの場所に蒔いて。
　「一度しか殺せないのが残念だ」と言ったのはロバートマッコールさんだったか。このジャンル(「舐めていた相手がフュリオサだった」ならず「忘れてた相手がフュリオサだった」)に対する、マッドマックス1を監督したミラー監督のアンサー。「復讐とはこうするものだ」
　幽遊白書に似たような復讐があったが、あれができたのはあのリアリティラインだったからで、リアルでこれは新しい。
　あの種子を蒔いた砦は新たな故郷となった訳だが、フュリオサ達は再びこの果実を食べたのだろうか？

フュリオサの義手

デスロードで義手の肩パットからブラブラしていた紐。なんだろうと思っていたが、今作でそれを引っ張るとエンジンがかかり、電動カッターが始動するようだ。熊のぬいぐるみを剥ぎ取る時に使用していた。

熊のぬいぐるみ

フュリオサは熊ちゃんのぬいぐるみをそこまでして欲しかったのだろうか。幼少の時に良く一緒にいたから？それとも種子を植えるのに邪魔だったから？

まとめ

「フュリオサ」と「デスロード」は完全に繋がっていて、構造上のクライマックスがデスロードにあたる。「フュリオサ」を見ると「デスロード」を見直したくなり、実際に見てみると100回見た筈の「デスロード」を新鮮に感じることができた。感謝。

　となると「デスロード」の最後、フュリオサの「私を覚えている？」が弱く感じてしまうのがなんとも（少女フュリオサはジョーに後の妻として閉じ込められたがうまく逃げ出し、争いの道具にされたがなんとかやってた）。シャーリーズセロンは「子供が産めないからとジョーに捨てられ、その時に腕を失い」という設定で演技したわけだから（引用もとはパンフレット）そりゃギャップもあるだろう。この溝をどんな理屈で埋めるのか、ファンの腕の見せどころか？忖度エンジンをふかせ！v8！