ワールド探索日記 2022/8/15
Labyrinth By rokumori_
MONDO GROSSO「ラビリンス」がロケ地となった香港の巨大密集住宅「益昌大廈」を再現したワールド。実際にはいったことないけど、そのおどろおどろしさが伝わってきて、実際に行ってみたくなるワールドでした。
アジアの密集住宅はたびたび映画やアニメの舞台として参照されることが多い。印象に残っているのであれば押井守氏が『イノセンス』を制作した時にキーワードにしていた「チャイニーズゴシック」。
「ゴシック建築」といえばパリのノートルダム大聖堂が思い浮かぶが、いろいろ特徴はあれど、ゴシック建築では「垂直性」が強調されていることが、ひとつ大きなポイントといえる。尖塔アーチなり、それぞれの要素を見ていくと、それらは垂直性の協調の一助となっていることが伺える。
そうした垂直性は空間的なスペクタルを生みやすく、それゆえ、様々な作品に引用がされている。ファイナルファンタジーなどでもゴシック建築らしきものが引用されていることが多い。
「垂直性」というキーワードはそのまま香港の都市構造にも当てはまるらしく、最近読んだ文章でも、そうした観点から書かれていた。
こうした都市構造は香港島の地形と歴史的な経緯が強く影響しているという。「九龍城」然り、こうした建物には複雑な歴史的な背景が潜んでいると思うが、その結果として表れている空間に魅力を感じてしまうのはなぜなんだろうと改めて思う。
#ffffff By tacos__
ワールド名が指し示すように、まさに白く明るい空間。点々とした家具の配置もきれいだけど、開口越しの視線の先にアイストップをつくらない、部屋から部屋への開口のつくり方が好きだった。
螺旋階段の床や壁との取り合いも見どころがたくさんでした。
The Goethe Space By deaconline
建物全体が帯のような構造体で構成され、それが階段や棚のような細かいディテールにまで展開されているのが興味深かった(海外のクリエイティブスタジオの作品らしい?)。
床や天井・壁・階段が境目なく展開されている空間はOMAの「Educatorium」を思い出した。
もしくは青木淳氏の「馬見原橋」。
これらの建築は断絶した空間をつくるというよりはある種の連続体のようなものを形成することを意図して、設計されている。それゆえ、決められた機能みたいなものを定めるのが難しい。結果として、そこで住んだり使うということには能動性が必要になり、使いこなすのが困難になる。
バーチャル空間に機能と呼ばれるものがあるかは分からない。
そういう意味では現実でこのような建築をつくるときに考える拠り所もなくなるが、一方で現実ではハードルとなってしまう機能性みたいなものを一旦リセットして考えることができる。
こうした造形も建築に求められる機能をリセットしてひとつのルールで設計してみたときにどういう現れになるのか、の試行として考えると興味深い(しかし、「機能」はまだ見つかってないだけで、本当は必要なそういう要素があるのかもしれない)。
Rocky Seaside By ELECTR0
海上に建つ岩の中に設えられた家のワールド。ロケーション!
自然と人工的な要素をあえてぶつけ合う感覚は荒々しいながらも魅力を感じてしまう。
ENSAMBLE STUDIOという建築家はまさに岩の中に住空間をつくることをやっている。しかし実はこの岩は自然の岩ではなく、人工的につくった自然(らしさを持つ)岩だ。
この事例を考えてみると、実は自然であることが重要なのではなく「想定のつかない外部的要因」であることが重要なのかもしれない。この建築も干し草などを利用して不定形をつくり、その要素を引き出している。
同じくENSAMBLE STUDIOの別のプロジェクトを見ると、そうした外部的要因を3Dスキャンという技術を使って、自分たちの設計に取り入れている。
何の話か分からなくなったが、バーチャル空間の岩も結局は岩(ぽい)ものであるのだが、そこでは「想定し得ない造形」と「「岩」というイメージ」がデザインの一要素として活かされているということであり、こうしたデザイン言語が当たり前のように存在している状況は面白いなと思った。
(余談だが、どこかの岩をフォトグラメトリしてこうした空間の構成要素として活かすと、また意味合いが変わってくるのかもしれない。)
それにしてもちょっと掘りこんだり、くつろぎ空間つくるのうまいな…
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