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ワールド探索日記 2022/8/26

バーチャルマーケット2022 Summer

主にVRChat上で開催される、世界最大級とされているVRイベント「バーチャルマーケット」。8/13~8/28で開催されていたので訪れてみた。
世界最大級とされていることからより多くの人が訪れる空間になること、毎回コンセプトを定めてさまざまなワールドが制作されることから、毎回訪れるようにしている。
「VR空間上のイベント」という意味では、まだ知見が少ないであろう分野でどのような試みが行われているのかを観測する意味でも。

会場を回っていて『<責任>の生成』という本に出てきた「意思決定支援」と「欲望形成支援」というキーワードを思い出した。

「意思決定支援」とは要するに「●●と××、どちらが良い?」というように、選択肢を与えることにより相手の意思を尊重させるような考え方。
この本では、それが治療する側・支援する側の責任回避の論理に近づいてしまっているのではないかと語られている(「インフォームド・コンセント」のような例が挙げられていた)。

本書では「意思決定支援」は確かに重要だが、人は自分で何を欲望しているか分からない、だからそれを共同で形成していくことが大事ではないか、そういう意味では別の回路も必要ではないかということが説かれている。
そうした疑問から「欲望形成支援」という言葉が登場する。

「欲望形成支援」を明解な言葉で説明するのは難しいと思いつつ、自分は「選択を与えられる」のではなく、「自分の中にある選択肢に「気づく」」というニュアンスだと理解している。そしてそう考えると、実際の空間というのは「欲望形成支援」「的」と言えるのではないかと感じる(よりセンシティブな扱いがされる分野の用語をそのまま持ってくるのは乱暴ですが…)。
実際に本書では建築の分野でも触れられる「アフォーダンス」が取り扱われているし、遠からずそういった性質を持っているのではないか。

もちろん現実の空間には「意思決定支援」的なものも多く存在する。特に商業施設等はそのような性質を備えているだろう。一方で近年では、商業施設でも「欲望形成支援」的なものも増えてきているのではないかと感じる。例えば、消費活動に直接結びつかないような機能も併せ持つ「喫茶ランドリー」等はそう言えるかもしれない。

それを考えると、バーチャルマーケットのようなVR会場群は現状は求められる機能も相まって「意思決定支援」的な空間を創作することに比重が置かれているのではないかと感じた(より個別に見ていくと必ずしもそうではないかもしれないが)。
バーチャルマーケットではなんとなくふらっと入ったり、ということがしにくく、どこか大変に思ったり、疲れてしまう。それは「選択」が多く存在しているからなのではないか...(空間というよりイベント企画自体の設計もその観点から読めるかもしれません)

ただ別にそれが悪いということではなく、これはバーチャルマーケットという「期間限定のイベント」というフォーマット上必要なことではあると思う(「欲望形成支援」は時間をかけて紡がれるものであるから)。しかし今後、バーチャル空間が日常的な空間となっていくためには「欲望形成支援」的な空間を実現するためにどうすればいいかを考えるタームも出てくるだろうなと(なに言ってるのか分からなくなってきた)。

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