マガジンのカバー画像

2020-21読書録

20
運営しているクリエイター

2020年5月の記事一覧

ずれの中に─『怪異の表象空間: メディア・オカルト・サブカルチャー』

日本の近現代は怪異とどう向き合ってきたのか。明治期の怪談の流行から1970年代のオカルトブーム、そして現代のポップカルチャーまで、21世紀になってもなおその領域を拡大し続ける「闇」の領域――怪異が紡いできた近現代日本の文化表象を多角的視座から探究した決定版。 *** 明治期から怪異がどのように扱われてきたか、どのように伝わってきたのかが網羅的に語られる本書。 明治期では心理学や精神医学に近いものとして扱われた怪異。この時、怪異は新聞というメディアを通して流布していった。は

たのしい超監視社会

どんな時代でも、惑星でも、世界線でも、最もSF的な動物は人間であるのかもしれない……。火星の新生命を調査する人間の科学者が出会った、もうひとつの新しい命との交流を描く表題作。太陽系外縁部で人間の店主が営業する“消化管があるやつは全員客"の繁盛記「宇宙ラーメン重油味」。人間が人間をハッピーに管理する進化型ディストピアの悲喜劇「たのしい超監視社会」ほか全6篇を収録。稀才・柞刈湯葉の初SF短篇集。 *** 外出自粛を要請され、おちおち散歩にも出れなくなった僕たちの日常と言えば、