意識とは、方向を把握する機能である─『先をゆくもの達』
火星の古いコロニー、ラムスタービル。ビルマスターのナミブ・コマチは、地球人が残していった“全地球情報機械”を探索するのが生き甲斐だった。
そんなある日コマチは、火星人の寿命九十歳を拒否して「死ぬまで生きたい」と言う祖母アユル・ナディに共感している自分に戸惑う。
子孫を残すこと―自らの性欲を自覚したコマチは、火星で初めての男児ハンゼ・アーナクを産み落とす。
それは、火星と地球をめぐる“わたし”と“いま”の相克のはじまりだった―
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久しぶりに神林長平氏の本を読んだ。
『