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①.薬歴チェック

 薬歴チェックとは・・・ 

 処方箋を受け取り、その患者のカルテを見て間違いがないか確認する作業です。調剤の中で一番薬剤師の専門性を出せるところです。

 処方の間違いは意外と多く、1日に何度も疑義照会することも珍しくはありません。

 自分の病院では医師が処方箋を入力したら印刷機から出るようになっています。それを取った人が確認するようになっています。

 アンサングシンデレラではあまり取り上げていなかったですが(地味ですし)病院によっては調剤後に確認したり、そもそもカルテを見ないところもあるみたいですね(処方箋内容だけの確認)。


 カルテを見るポイント

 1.患者の主疾患(入院目的)

 2.医師の記録

 3.アレルギー歴や既往歴

 4.処方歴

 5.検査値

 6.バイタル

 7.指示簿

 場合により看護師の記録や注射歴などを確認します。

 個人的にはこれを見ればほとんどの場合しっかり確認できますが、病院は人手不足です。ゆっくりカルテを見ていたら処方箋はたまる一方です。処方が片付くのが遅いと病棟から沢山電話が来てしまいます(できてますか? まだですか? などの電話が・・・)。

 なので早く片付ける必要があります。新人の時は恐る恐る見てましたが、処方内容によっては見る場所を割愛したりもします。

 見る時間が長いと先輩から怒られますが、かといって間違いを見逃すとお怒られるので、特に新人が理不尽を感じるところではないでしょうか😅

 もちろん何度も言いますが病院によってやり方は違うと思うのでご容赦くださいね。


 さてカルテを見るポイントを1つずつ説明していきたいと思います。

1.患者の主疾患(入院目的)

 患者はいろんな問題を抱えて入院してきます。糖尿病だったり、壊死だったり、肺炎などなど。まず何の目的で入院しているのか把握します。が、薬歴チェック的には意外とどうでもよかったりするので、スルーすることも多いです。

 また入院患者は予定して入院してくる人や緊急入院、たまに外来から入院になる人もいます。目的も、検査治療手術と異なってもいます。

 2.医師の記録

 医師の記録は、患者の状態や背景を知るうえで欠かせない情報です。いろんなことが書いてあってなかなかわからない単語も多いですが、学生が勉強するなら知らない単語を調べると勉強になると思います。

 薬歴を見るだけなら1週間分くらい見れば十分だと思います。医師によってはあまり記録を書かなかったり、逆にすごく書いてあってみるのが大変だったりもします。特に入院が長い患者だとどこから見ていいのかわからなくなっていしまいますね。

 医師の記録からは逸脱しますが、看護師の記録や他の医療従事者の情報もあるので参考にしたりします。

 情報を見落として先生に疑義照会すると怒られたりもするので疑義照会の際はしっかり見てからにしましょう。

 3.アレルギー歴や既往歴

 ここはシンプルですね。アレルギー歴はどの薬でもあり得るので比較的大したことない薬でも確認が必要です。特に抗菌薬なんかはアレルギーとしては多いですね。たまにクリニカルパス(治療計画)では決まった処方が自動的に入ってしまうので、先生が意図せずアレルギー薬を処方してしまうことがありますので注意です! 自分も3回ほどセフェム系アレルギーにセフェム系の抗菌薬が婦人科で処方されていて疑義照会・処方変更しています。

 あとこのアレルギー歴を入力するのはおそらく看護師だと思うのですが、たまに【風邪薬】とか【痛み止め】とか載せられると全く持って意味がないと思っています(笑) だって幅広すぎてわからないですし。全部の痛み止めは使うなってことですかね(笑)

 さらに勘違いしているのが、例えばですが【抗がん剤】とか【ACE阻害薬で咳】などはアレルギーではなく副作用です。まぁ載せておいてもいいとは思いますが、抗がん剤なんかは特に副作用が出るものですから意味がないと思うんですよね。

 他にも食べ物がたくさん書いてあって、嫌いなだけだろってやつとか、ストレスとか書いてあると、「・・・」ってなります。

 既往歴は大切な情報です。記載されてなかったりもするので見逃したりもしますが。患者が「なんでこの薬を飲んでいるんだろう」と考えるときにとても有用です。また飲んでいる薬が患者にとって大切かどうかも判断する材料になります。


 4.処方歴

 さて、一番薬剤師らしいところですね。処方歴は薬が重複していないかや、同系統の薬が処方されていないか確認するのに大切です。またシステムでも違うところがあるかもしれませんが、カレンダー状になっていて、いつまで処方されているかを見れるようになっているものもあります。処方期間がおかしなものも疑義照会の対象です。

 特に処方内容は薬の添付文書などを参考にしてしっかり間違いがないか確認します。

 

 5.検査値

 検査値も重要です。薬の中には高値・低値のものは禁忌になっている薬も少なくはありません。また腎機能で引っかかる薬もたくさんあります。高齢者も多いので、計算をしっかりしましょう。

 抗菌薬などでは炎症マーカーは重要な情報です。直近だけでなく以前から改善しているのか、悪化しているのかも判断材料にしましょう。

 薬歴チェックからは離れてしまいますが、検査値には感染症患者の培養結果が記載されていたりもします。培養結果で抗菌薬の変更したりするのに重要な情報です。


 6.バイタル

 バイタルといえば代表的なのが脈拍血圧体温呼吸数ですね。 自分が使っているシステムでは、この他に食事内容や、排便状況、水分のin・out、SpO2なども見れたりします。

 薬歴チェックではないですが、病棟業務では血圧次第で、降圧薬の増量や減量の提案をしたりもします。食事形態から簡易懸濁(錠剤をお湯に溶かして注入する方法)をしているかどうかを判断したりもします。

 排便状況に関してはカルテだけではわからないことがある(排便回数はわかるが、硬さや量などはわからない)ので、看護師さんに任せているところもあります💦


7.指示簿

 これは聞きなれない方も多いのではないでしょうか? ただ自分の病院だけのシステムだったら申し訳ないのですが、これは先生の指示(文章)が書いてあるツールです。といっても分かりにくいと思うので・・・

 例えば

 疼痛時:ロキソプロフェン 1錠内服 6時間空けて

 不眠時:ブロチゾラム 1錠内服

 便秘時:センノシド1錠内服

などなどです。

 つまり先生自身のの処方や指示なみの力があるところです。医師もずっと病院に入れないので不在時の対応やオペ中など忙しいときの対応を記載していたりします。また○○〇薬中止や○○〇薬再開などの指示もあるので見落としてはいけません。

 これはもちろん指示なので薬のこと以外もたくさん書いてあります。インスリンのスライディングスケールなどもここに書いてありますね。

 ちなみに指示で使う薬はどこから使うんだと思うかと思いますが、病棟のストックから使用したり、薬剤部にとり来て使ったりします。また使った薬は後々実施済み処方としてオーダーしたりもします。

 自分も新人で薬歴チェックを始めたときはこういうものがあることを知らずに、「なんで見ていないんだ!!」って怒られたこともありました💦



 

 長くなってしまいましたが、これが代表的な薬歴チェックでの確認すべきところでしょうか。他にも場合によって見たりもします。

 初めの時は間違っていたらどうしようと悩んだりもしました。もし悩んだら聞きましょう。聞かないで公開したり悶々とするよりは聞いてしまった方がましです。自分は聞くか、聞かないか悩んだら聞くと決めています。それで先生から怒られたこともありますが、それはそれと割り切っています。逆に先生から教えてもらえることもあるので。

 少しでもこれから薬剤師になる薬学生さんの参考になればと思います。

 是非今後も見て下さい。

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 次回「調剤編

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