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フランシス真悟個展@茅ケ崎市美術館レポ

神奈川・茅ケ崎市美術館でのフランシス慎吾の個展に行く。作品は100点ほど展示されていたと思うが、私が特段印象に残ったのは偏光する絵の具を使った絵画シリーズ。写真では発色も偏光も全く写し取れず良さが全然伝わらないのだが、一応貼る。

キャンバスに対し○または□の図形が描かれたシンプルな抽象画。偏光パールのような絵の具が用いられており、鑑賞者の見る位置や、光の当たり方によって色が違って見える。また、図形の境界線もあいまいになったりはっきりしたりする。

「同じものや状況でも、観測者によって見え方は異なる」と言葉にすれば当たり前のことだが、これが体感できたのが個人的に良かった。

例えば辛くて仕方ないときも、一歩踏み出せば景色が変わり始めるかもしれない。また、一歩踏み出せなくても、時間の経過で移ろうこともある。
あるいは、過去の自分という視点からみたら、今の自分はとても幸せだったりするかもしれない。
今、ここ、この感情、がとても刹那的であること。それは辛いときだけでなく幸せなときも同じなのであるが、刹那的であると認識することで、辛いときからの脱出は早く、幸せなときを噛みしめる力が強くなるはずだ。

今の自分がこの作品から受け取るのはこういった思いだった。
この思いもまた、自分の状況や年齢や気分によって変わるのだろう。
変わり続けることだけが、変わらないのだろう。

このシリーズは新作でありメインの展示でもあった。展示室は時間を区切って窓を閉め、見え方の変化を楽しめるような試みもなされていた。

展示は6月9日までとあとわずかなのですが、公式サイト貼っておきます。
https://www.chigasaki-museum.jp/exhibition/7778/

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