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青春大好きリチャード・リンクレーター監督新作『30年後の同窓会』

青春大好きリチャード・リンクレーター作。

『ビフォア・サンライズ』は〝青春〟
『ビフォア・サンセット』は〝失った青春〟
『ビフォア・ミッドナイト』は〝タイムマシン使ってでも青春を取り戻せ〟
『エブリバディ・ウォンツ・サム!! 世界はボクらの手の中に』は〝美化された青春〟
『6才のボクが、大人になるまで。』は〝青春実録〟

今回の『30年後の同窓会』は〝青春を国家に捧げた男たち〟

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主人公の3人は元海兵隊。
30年前にともにベトナムで従軍していて、ある同じ過ちを抱えていた。

2日前にスティーヴ・カレルはイラクで息子を亡くし、息子が入った棺桶を〝軍人としてではなく息子として〟埋葬するために奮闘する。

それに協力するのは、
海兵隊時代にヤンチャしていたが国家や正義という解決しない苦悩から逃れるために牧師になり全てを神に委ねてまるで別人になったローレンス・フィッシュバーン。

海兵隊時代を引きずって栄光も反発も抱えたまま生きているブライアン・クランストン。

この三人がほとんどイチャイチャしながら、自分たちが青春を捧げたアメリカという国家を反芻しつつ、息子を埋葬するまでの話。

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あらすじとしてはこんな辛い話はないけど、この三人のまさに〝同窓会〟チックなやりとりが楽しい。

ロードムービーっぽく場面を変えつつ三人で、時には人物を加えて4人でひたすら会話劇を続けるのは『ビフォア・ミッドナイト』っぽい。

キャラクターが全然違う三人が狭いモーテルに泊まったり、駅のベンチで夜を明かしたり、電車の貨物車両で泣くほど笑ったりするのはまさに青春のワンシーン。

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広義でのおっさんずラブかもよ。

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『ビフォアシリーズ』のシャープさはないし、
『エブリバディ・ウォンツ・サム!! 世界はボクらの手の中に』や『6才のボクが、大人になるまで。』の思い切ったクールさもない。

でも、与えられた様々な重いテーマに挑む名優三人の演技にはたしかに〝友情〟が見えて、きっと忘れがたい映画になるはず!

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原題は『Last Flag Flying』

Flag はこの場合、国旗でしょう。
Flyingは、はためいている状態。
つまり国旗が掲揚されている状態。
それが〝ラスト〟である、と。

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