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AudioMovie®(オーディオムービー)とは


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2019年11月21日。
TBSラジオ×ファントム・フィルム共同制作『THE GUILTY/ ギルティ by AudioMovie®』特別先行試聴会に行ってまいりました。

僕は映画『THE GUILTY/ギルティ』の配給会社であるファントム・フィルムさまからのご案内で一般枠で参加。


『THE GUILTY/ギルティ』を題材に従来のラジオドラマとは異なる、新たな音声コンテンツ「AudioMovie®」の配信がされるので、それを記念した特別先行試写会が開催される、
とのこと。


AudioMovie®(オーディオムービー)という言葉初めて聞きましたし、
〝新たな音声コンテンツ〟!とか言われるとちょっと胡散臭い感じもしたわけですが。。

しかし『THE GUILTY/ギルティ』が死ぬほど面白いのは知ってますし
TBSラジオのプロデューサー橋本吉史さんの名前も載っていたので
「これは相当気合の入った企画なんだろう」と思いまして、楽しみにしていました。

1. AudioMovie®(オーディオムービー)が生まれた経緯
2. AudioMovie®(オーディオムービー)とは
3. 『THE GUILTY/ギルティ』とは
4. AudioMovie®版『THE GUILTY/ギルティ』の感想
5. AudioMovie®の今後
6. 『THE GUILTY / ギルティ by AudioMovie ®』を聴きたいっ!

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トークイベントには羽田圭介さん、TBSアナウンサー日比麻音子さん、TBSラジオ編成局制作部プロデューサー橋本吉史さんが登壇。




1.AudioMovie®(オーディオムービー)が生まれた経緯

プロデューサー橋本吉史さん(以下 橋Pさん)の発言を要約します。

橋Pさんは日頃「ラジオってなんか停滞してない?音声コンテンツって進化できないの?」的なことを思っておったそうな。

ポッドキャストも日本では人気が限定的なままで留まっている。
しかし、アメリカでは5年前から市場が拡大し需要が高い。
トークや朗読だけでなく、音声のみのドラマも人気。

それは、高性能なワイヤレスヘッドホンの普及が背景にある。
音楽以外の面白い音声コンテンツも多く求められるようになったからだろう。
日本にもその需要はあるはず。

一方その頃。映画『THE GUILTY/ギルティ』が日本上陸。
電話の音にスポットを当てたこの映画は、ラジオ業界(音声コンテンツ業界)で話題に。

確かに僕も試写会行きましたが、その後からTwitterでの盛り上がりがすごくて勢いそのままに大ヒットになったようです。
業界で話題になっていたのですね。

で、橋Pさん。
『THE GUILTY/ギルティ』は題材として最適。
これを音声コンテンツ化しよう!
ってことでAudioMovie®が生まれるのでした。

だいぶ省略されて語られたとは思うので、これが全てではないことも承知しておきましょう。

AudioMovie®公式サイト → https://audiomovie.jp/




2.AudioMovie®(オーディオムービー)とは

僕はてっきり、映画『THE GUILTY/ギルティ』のセリフをそのまま日本語吹き替えにして、セリフの間に状況説明の音声ガイドが入ってくるようなものなのかな、と思っておりましたが
違いましたね。
AudioMovie®独自のコンテンツでした。
『THE GUILTY/ギルティ』題材に一から作っている。「映画のAudioMovie®化」って感じでしょう。

■AudioMovie®の特徴

ト書きや状況説明がない
セリフのみでした。
ただ、ドアを開ける、椅子から立ち上がる、ペンをカチカチする、部屋の中を歩く、などの環境音がガンガン入ってきますし
ヘッドホンで高音質でそれらを聞くと、電話の向こうの相手がどんな状況なのか、距離感などがイメージできてきます。

いかに緻密に計算された環境音であるかがわかります。

また、状況を説明する神様的な視点がないので、延々と主観のまま没頭聞いていられます。

これについてゲストの羽田圭介さんは
「客としてバカにされてない感じ」と言っておられました。
「能動的に楽しめる」と。

高レベルのエンターテイメントであるわけですが
反面、結構一生懸命集中して聴かないと難しいかな、と思いました。

『THE GUILTY/ギルティ』自体が〝微細な音声情報に集中する〟というコンテンツだったからかもしれないんですが
もっとライトに楽しめるもの、通勤電車に乗りながら、半分寝ながらでも楽しめるものも並行して製作していった方が、広がりはあるのかなと思いました。


■従来のラジオドラマ、音声ガイドとの違い

ラジオドラマ
ラジオドラマはナレーションによる説明が多いイメージですね。
近年では三谷幸喜脚本、松たか子主演の「イザベラ・バード 日本紀行」がありましたが
冒頭は三谷幸喜によるナレーションで始まり、環境音も充実はしていますが、それに加えて状況説明するナレーションが加わります。

●音声ガイド
ここでいう音声ガイドは、視覚障害者用の音声ガイドのことで、既存の映画に音声ガイドを加えたものです。
セリフとセリフの間に音声ガイドの声優さんによる状況説明の声が挟まります。

拙文ですが、僕が書きました「音声ガイド」付き映画ってなに?体験&徹底調査!視覚障害者のためだけではないその可能性を紹介 | FILMAGA(フィルマガ) https://filmaga.filmarks.com/articles/2022
にその辺りのことが書かれていますので、よろしければこちらもどうぞ。。




3.『THE GUILTY/ギルティ』とは


さっきから言ってる『THE GUILTY/ギルティ』って何なんだ、観たくなるじゃねえか。という方もいらっしゃると思います。
死ぬほど面白いので、ぜひどうぞ。

■『THE GUILTY/ギルティ』公式サイト → https://guilty-movie.jp/

■『THE GUILTY/ギルティ』四コマ映画 → https://4koma-eiga.jp/fourcell2/entry_detail.htm?id=2193


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4.AudioMovie®版『THE GUILTY/ギルティ』の感想

「ラジオドラマや音声ガイドとどう違うんだろう」「音声だけで理解できるのだろうか」という疑問を解消すべく聴きました。

映画『THE GUILTY/ギルティ』は88分。
AudioMovie®版では全3話に分けて、それぞれ15分から20分程度。1話完結バージョンは47分。
今回聞いたのは第1話のみ。20分でした。

会場は表参道のcafe ATLANTIS(http://cafe-atlantis.com/)という最上級にシャレのめしたところ。
この日の照明はこんな感じで暗い。逆コの字型のテーブルがガラスで照明が埋め込まれていて、基本青ですが、シーンによって色が変化しました。

AudioMovie®のロゴの入ったマカロンも配られ、このプロジェクトの本気度も伝わるわけです。
この一種異様な非日常の空間で、今回は聴くことになりました。

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■わかりやすい工夫

僕はすでに映画を見ていますので、だいたい覚えてるし、同時にちょこちょこ忘れてもいる。
そんな状況ですが、僕は映画よりもAudioMovie®の方が「わかりやすい」と感じました。

この映画の特色なんですが、舞台は緊急ダイヤル室のみですしほとんど主人公の男の顔がどアップで映っています。
男の顔をガンガン見ながら電話の向こうで行われていることを音声を頼りに思い描くのってちょっと難しいんです。

いっそ目を瞑っていたり、今回のような集中しやすい空間の方が、脳みそが楽イメージし始めてくれます。


■映画のエピソードやシーンをいくつか削っている

誘拐事件の電話が来るまでに、2、3件電話が来ていたと思うんですが、それが1件になっていました。
同僚のおじさんとの会話もあったかと思いますが、それもカットされていたようでした。
わかりやすいように要素を削ってポイントを絞るためでしょう。


■セリフと声優の演技

セリフもかなりわかりやすく組み立てられていたと思います。
声優さんの演技も素晴らしく、セリフ以上に役柄や状況や今後の展開を含んだ声の演技で、わかりやすく伝えてくださっていました。


■わかりやすすぎる?
今回は相当集中して聴く状況が設定されていましたし、前後に製作者の熱い想いなんかを聞いたりもしていたので、めちゃくちゃ気合い入れてみんな聞いていたと思います。

だからかもしれないんですが、ちょっとわかりやすすぎるのかもしれないと思いました。

だからこそ羽田圭介さんが「●●わかっちゃった」と言っちゃったのでは。
●●わかるくらいに削ぎ落としてわかりやすくしすぎちゃったのかも。
(羽田さんが小説家だってのもあるかと思いますが)

映画版だともとエピソードが多いし、視覚情報も浴びるので「あれはどういうこと?ん?ん?」と思ってる間に話が進んで行き、あれよあれよと引き込まれるってのがあったんですが
今回のように丁寧に整理された音声情報だと「むしろ意外とわかりやすい」のかも。

ただ、繰り返しになりますが、今回は異常に集中させる空間で聞きましたし、
そもそも僕は「一回映画見てる」わけですが。





5.「ようこそ、この世界へ」視覚障害のある方の感想


参加者には視覚障害のある方が2名いらっしゃいまして、鑑賞後、男性の方にマイクが渡されて感想を述べられました。
この感想に僕は胸を撃たれました。

以下要約です。

「ようこそ、この世界へ」という感覚です。
目が見える状況でも目が見えない状況でも同じ情報を与えられれば、もしかしたら同じ想像ができているのかも知れない。

橋Pさんが「わかりにくい箇所はありましたか?」と質問すると
ちょっとキョトンとした感じで「与えられた情報で想像するんです」と答えてらっしゃいました。

ト書きを廃したAudioMovie®にあって「ちゃんと伝わるように」というのを橋Pさんは苦心して製作されましたし、
僕は「音声だけでわかるんだろうか」と心配しつつ聞いて「わかりやすかった」という感想を持ちました。

この男性の言葉を聞いて
我々は「わかる」ということに囚われすぎているのかもと思いました。

今回は映画『THE GUILTY/ギルティ』という元があるのでなおさら、まるで正規の答えがあるような気になっていました。

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途中、主人公が隣の部屋に移動して誰にも見られない状況で同僚に電話するというシーンがあるんですが
僕は「映画を見ていない人は主人公が隣の部屋に移動したことがわかるのだろうか!」と勝手にドキドキしていました。

元の映画を「正解」だと囚われすぎて、それを想像できなきゃダメと思い込んでわけです。

音声ガイド付き映画を見たときも同じ過ちを冒していたのに、、またしても。。
聞いた音を頼りに自分が想像すればいいだけなのに、「自分の想像は合っているんだろうか」とテストを受けている感じになってました。

***

このように自分が囚われているものを外すことができる快感もありますし
視覚障害のある方と全く同じコンテンツを楽しんで感想も共有できることがシンプルに嬉しいです。
ワクワクし、胸躍ります。




5.AudioMovie®の今後

『THE GUILTY/ギルティ』はAudioMovie®向きな題材だったけど、今後はどの映画をやるんだろうと心配してましたけど、ものすごく杞憂でした。。

AudioMovie®用に企画し脚本を書き作品化していくというプロジェクトなんですね。思っていたよりもっともっと壮大なプロジェクトでした!
ブランド規格「AudioMovie® Code」をすでに作ってあり、これを脚本家やディレクターに公開して、企画やシナリオを募集しているとのことです。

下記の記事に詳細がございます。
 ↓ ↓ ↓ ↓
日本人がいまだかつて経験したことがない “主観の意識体験ドラマ” AudioMovie® (オーディオムービー) が誕生。https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000263.000003392.html


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ちなみに「AudioMovie® Code」をチラリと聞いたのですが

●ナレーションを減らす
●シーンを減らす
●聴覚はあまり記憶できないので、冒頭の伏線をラストで回収!みたいなことは難しいかも(これは検証が必要とのことでしたが)。
とか。だそうです。

AudioMovie® Codeは下記から取得申請できます。
https://cgi.tbs.co.jp/ppshw/pc/radio/am/6431/enquete.do





6.『THE GUILTY / ギルティ by AudioMovie ®』を聴きたいっ!

『THE GUILTY / ギルティ by AudioMovie ®』を聴くには2通りの方法があります。

●ポッドキャスト
Apple Podcasts / iTunes, Spotify, Castbox, SoundCroud, TuneInなどで聴くことできます。
「 AudioMovie ギルティ 」で検索すると出て来ます。
※「ギルティ」のみで検索するとすんげえいっぱい出て来るので「 AudioMovie ギルティ 」で。

公式サイト https://audiomovie.jp/
公式サイトだと全話一気聴きも出来ちゃいます。


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今後、
ビッキビキに冴えまくった高品質のAudioMovie ®作品も聴きたいですし、
「ながら聴き」もできるようなライトな作品も必要になるかと思います。


それにしても近年「ホントにマジでそろそろいい加減にし欲しい……」と思うニュースばかりで
午前中にまずこの手のニュースにやられる…、心も体も消耗する…、という毎日なわけですが、
AudioMovie ®の発足は、久しぶりに希望の持てる明るいニュースでした!

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