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妻の殺意はどこから!?映画『人情紙風船』ラストネタバレあり

人情紙風船(1937年製作の映画)製作国:日本上映時間:86分
監督 山中貞雄
脚本 三村伸太郎
出演者 中村翫右衛門 河原崎長十郎 河原崎しづ江 霧立のぼる 瀬川菊之丞 橘小三郎 市川笑太郎 助高屋助蔵 加東大介 中村鶴蔵

山中貞雄も『人情紙風船』が遺作とはなぁ

『花筐 HANAGATAMI』の劇中で

「山中貞雄も『人情紙風船』が遺作とはなぁ」

というセリフが何度か出てきましたので
観ました。



山中貞夫監督。

第一次世界大戦で出兵して中国で病死。
享年28歳!!
若い。。。。。。。

20歳から脚本家デビューしてるのでかなり映画の本数は多い。


調べましたところ
相当の天才であり生きていれば世界的な名作を多数産んだはず、の監督とのこと。

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まず群像劇として始まります。
誰が主役だかわかりません。


ていうか録音状態が悪いので
(古い映画はだいたいこうだから字幕つけて欲しい…)
セリフの3割は何言ってのかわかんない。。


大量の人物を動かして
江戸時代の貧しい長屋の世界を描きます。


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イントロがいいですね。

ある朝、老人が首吊り自殺しているのを長屋の住人が発見する。

「侍なら侍らしく腹を切ればいいのに」
「貧しくて刀を持ってなかった」
「いつも腰に刺してたのは?」
「あれは竹光だ」
「竹光じゃ腹も切れねえ」

何とも切ない始まり。。


この映画は貧困の話なんだな
さらに、侍の魂を持った男が時代の流れにその魂を踏みにじられる話なんだな
と、なんとなく伝わります。


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主役は2人の男。

マジメだけど古臭く生きる知恵のない侍(浪人)の又十郎。

色男で生きる知恵のある新三。


相容れなそうな2人は長屋の隣同士に住んでいる。

とくに交流はなかったけど
ある若い美女の誘拐事件を機に2人は結びつき
同じ運命を辿ることになる。

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僕も映画見ただけでは全然わかんなくて、、、、

とくにラストの又十郎の妻の行動にびっっっくりしたんですが、、

いろいろ解説を読んで
あ〜なるほど、と。


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リマスターと字幕版が観たい。。


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出演者の名前を見るとほとんど歌舞伎の人っぽいですね。

市川とか中村とか板東とか。

顔がスッとしてる。
昔の人の顔に見えないんです。

ひとり完全に2代目中村七之助と同じ顔の人もいたりして。

100年近く前の人たちを見てる気しない。


歌舞伎の人たちが『半沢直樹』にいっぱい出てますが、この『人情紙風船』もそういう感じだったのかな。


古い日本映画って
嘘だろってくらい早口だったりしますが
これは結構現代のテンポで話してます。

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ラストネタバレ




新三も結局ヤクザに殺されてしまいましたね。
決闘のシーンや殺害のシーンを描かないのがオシャレでした。

又十郎を殺すのは妻。

侍であることに固執して、生きる力のない愚かな夫。
妻は絶望しながら暮らしていた。
ずっと不機嫌でしたね。
紙風船作りの内職をしておりました。

マジメなだけが取り柄(あとはイケメン)だったのに
新三の誘拐事件に関わって金をもらって「もう飲まない」と言っていた酒を飲んで酔っ払っている。

そこまでならまだしも

「毛利さまに父が書いた手紙を渡したから士官に就かせてくれるだろう」と言って又十郎は眠るが、

又十郎の着物からその手紙が出てくる。。。

手紙を渡し忘れたのか渡し損ねたのか知らないけど
手紙を渡すことすらできないこの夫。。。。


もういいや、、
もういいやコイツ、、
もういいや人生、、

と思った妻は短剣を握り
灯っていた行燈を吹き消す。

暗闇の中、夫の枕元に立つ妻の後ろ姿。


翌朝。

「心中とはなぁ」と長屋の住人たち。

長屋の脇の水路に紙風船が流れていく。

おわり



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