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楽に身体介助を行うために~立ち上がり移乗動作

高齢化に伴い、在宅で医療や介護を受けるという方は年々増加傾向にあります。

介護を受ける、あるいは施す上で、最も重要になるのが、身体的な介助ではないでしょうか。
その中でもベッドからの立ち上がりや車いすへの移乗などは介助者の負担が大きくなりやすいため、介助方法や補助具の選定などにおいて、しばしば理学療法士や作業療法士の出番となります。

今回は移乗や立ち上がりの介助時における考え方や工夫について学んでいきたいと思います。
まず介助をする場面において、対象者を荷物のように扱う方がとても多いです。持ち上げて、運んで、下ろすといったような単純な作業で動作を遂行してしまうと、お互いに関節を痛めたり、体が接触したりすることで傷ができたりすることがあります。

立ち上がりや移乗時に気を付けることは、関節や体の動きを理解するということです。

例えば介助量が50%の方がおられるとします。つまり50%は自分の力で動作を行えるということです。この時に50%を介助して残りの50%をしっかり本人に実行してもらえる介助をする必要があります。

しかし間違った介助の多くで、50%以上の介助をしてしまい、本人に十分な力を発揮させていないということがよくあります。

相手の力を利用しながら行うことで介助者の体を守ることにもつながります。

では実際どのように対策をすればいいのでしょうか。

立ち上がりの介助を例にみていきます。

まず人間が座った状態から立つ動作を簡単にみていきます。

座った状態から立ち上がる際には必ず、頭や上半身は前方に傾きます。
これは重心移動をするためですが難しい話は今回省略します。

スライド2


そして股関節を曲げて、重心が前に移動したら上半身を起こしながら脚を伸ばして立ちます。一般的にはこのような立ち方をします。

つまり介助する際にはこの動きの流れに沿って行う必要があります。

そのためまず介助する際には上方向ではなく前方向に誘導する必要があります。

スライド3

そして足に体重がしっかり乗ったことを確認した後に斜め上方向への力を発揮します。

スライド4

最初から上方向への力で持ち上げようとすると介助されている側は立とうとしても、力が入らないため結果的に立つことをしないまま動作を進めてしまいます。

移乗に関しては、この動きに回旋、回転する動きが入ります。
そのため足の位置や手を置く位置などの工夫が必要です。

これらは一般的な話であり、すべての方に当てはまることではありません。
大切なことは対象者に合わせた動きを介助者が行えるかということになります。

看護師や介護士は運動の専門家ではないため、当然重心移動や運動力学などを理解して介助を行うことはできません。そこで理学療法士や作業療法士がコツや方法などを説明することが必要です。

施設や在宅で活躍する療法士が多くなってきたこともあり、以前から比較すると、聞きやすい環境になったような印象があります。
このような連携を積極的に行い、在宅での生活を少しでも楽に豊かに送れることができれば、生活の質も向上するのではないかと思います。

当院でもできるだけそのようなサポートをしていきたいと考えております。


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