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海沿いに暮らす、「覚悟」?

ここ6年で、その時間ぴったりに「黙祷」を捧げたことがあっただろうか。

海沿いのこの町に帰ってきて、最初の頃に思ったこと。

ここで暮らすということは ”覚悟” と共に、生きていくんだなと。

地震の多いこの国で、海を目の前にして生きていくというのはどういうことか。6年ぶりに生まれ育ったこの町に戻り、ここで暮らす人たちはそんな「危機的」な覚悟を持って常に生活しているのか?と。



でも確かに、日々の小さな幸せを、私たちは海からたくさんもらっていて。私もここで育った一員なのだけれど。

帰ってきて3ヶ月目に突入した今、その「幸せ」をやっと噛み締めている。


私の家族はずっとここにいる。今は東京に暮らす弟も、そのうち実家の商売を紡ぐために帰ってくる。

たとえまた離れる日がきたとしても

私にとって、ここで起こることはひとつも「ヒトゴト」ではない。


もちろん、毎日毎日死ぬことを考えながら生きている人はいない。そんな悲観的な生き方は、実際にはあまり感じられない。


そう、なかったの。

私はイギリス暮らしが終わる時にもらった「あんな危険な国に本当に戻るのか」という言葉に長いこと呪縛されていた。


共存してた。

「津波が来て流されたら」という仮定の話を、さらっとする。普段の会話や、仕事で大切な決め事をするときに。


ここでの暮らしは美しい。やっとそれが分かってきた。

偶然この地に生まれたから、という理由が大半だとしても

同じくらい、この場所を愛してやまない人たちがいるのね。リスクを超えてしまうくらいに。


ずっと理解したかった。

しなければ、と思っていた。ほとんど義務感に近いような感覚で。

大学のゼミで、地元をテーマに2度も論文を書いたのは偶然ではない。


そうだ、山本先生に手紙を書こう。


目をつむって嗅ぐ線香の匂いが、日々の癒しになりつつあります。