アウフタクト


さくらのうたのイントロ。
質問を頂きました。

なんで、アウフタクトではなく、休符から?

さくらのうた、冒頭。(ここ難しいよね)

無音の1拍をスタートにしたかった、と説明できるんですが、

「みんなを黙らせたくて。」
なんて説明もしてしまいました。
実際どちらでも緊張感あるんでしょうけど、この休符は必要な無音ですね。

アウフタクトは、言語と密接な関係。

英語の例
Happy [Bir]thday → (3) Happy | (1)[Bir]th (2)day
My [Fa]vourite Things → (3) My | (1)[Fa]vourite ...
「前置詞や修飾語→主語」 という関係が多い発音では 、(強い)主語に結びつくリズムとして、この例では (3)→(1)となる。

この言語システムが西洋音楽の中では主流になるので、
アウフタクトから発生する旋律が多いのでは、という説。

日本語ではどちらかというと(1)から言葉を発することが多い。

もみじ
(1)あ (2)きの (3)ゆう

日本語
(1)にタメがある場合もある。

ヤシの実 開始、8分休符。
(1)〇なもしらぬ…

夏の思い出も、開始、8分休符。
(1)〇なつがくれば…

八木節の歌い出し 
(1)〇さてもいちざの…

(1)→(2)の引力が強い言葉と説明できる。

めずらしく「月の砂漠」はアウフタクトから
(4)月 | (1)のー

ところで「大きな古時計」はアウフタクトからはじまる。
けど、日本語リズムなら (1)大きな (2)のっぽの (3)古時計 となる。
しかし原曲英詞の歌い出しは

(4) My | (1) Grand- (2)father なので、アウフタクトが存在。

これに倣って

(4)お | (1)お (2)きな
となる

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旋律の形には言語が見え隠れする。
とはいえ、器楽の場合はそんな事は気にせず色々な旋律線を開発すれば良いけど、旋律線の持つ文脈に、意外と国民性とか土俗性がある事は、とても面白いなと思うんですよね。

2022.10.5

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