マガジンのカバー画像

写真とカメラの森の歩き方

23
写真とカメラの世界。 その広く深い森の中を楽しく、時には悩みながら迷いながらそれもまた楽しい。 そんな世界のガイドブックです。 あなたはこの森を僕と一緒に歩いて行く仲間です。
運営しているクリエイター

#写真

乳剤の追憶

《《 乳剤の追憶 》》 「フィルム写真はノスタルジーでしかない」 「“フィルムで撮った”という事にしか価値はない」 僕はそう思わないんだよね。 たしかにデジタルでフィルムと同じ様な写真を撮る事は可能だと思う。 そういうプリセットも売ってるしね。 フジフイルムのデジタルカメラのフィルムシミュレーションは優秀だしね。 僕が思うフィルム写真の良さは”フィルムという制限”から生まれる撮影の過程の変化。 それによって生まれるアウトプットの変化。 だと思う。 簡単に言えばフィル

解像度のはなし

解像度が高いというのは簡単に言うと 写真の世界では、拡大しても細部まで細かく写ってるという意味です。 今回はそれの比喩として、人がどれだけ分解して世界を見れるかと言う意味で使いました。 ボケっと無感覚に近いような状態で生きるか、自分の世界をとことん細部まで味わえるか、それがより幸せに生きるための大事な要素の一つだと思うのです。 そして写真を撮る事の良さの一つはそういうところにもあるかなと思います。 写真を撮っていると目の前の世界を見る解像度が上がってくるはずです。 よ

いまだからこそ家族写真、ちゃんと残しませんか。

「いまだからこそ家族写真だけでもちゃんと残しませんか。」 このご時世に宣伝めいたこと言うの気が引けなくも無いですが、言います。 卒業式、各地でお父さんお母さんが入れないとかなっちゃってますが… 切ないですね。 そこで家族写真だけでも撮っておきませんか? いまこんな世の中だけど。 あとで家族みんなで振り返ってみてその時の家族の日常に感謝できるように。 こんな世の中だからこそ、家族の節目の写真だけでもちゃんと、と思って。 そのお手伝いが僕に出来れば嬉

個性という言葉が嫌いだ。

僕は「個性」という言葉が嫌いです。 もう少し丁寧に表現すると、 「”自分の個性”というものに縛られたり、それを気にしたりする事、及び”自分の個性”というものに縛られたり、それを気にせざるを得なくなるような外的圧力」 が嫌いです。 人は「自分の個性」というものを気にしすぎだと思うのです。 個性というのものは言い方を変えると、「いかに人と違うか」という事でしょう。 そして人は「いかに人と違うか」という事を気にしすぎじゃないですか。 僕は「個性」という概念は他者から見てどう映る

世界を見る解像度

写真を撮るという行為を好きになり、のめり込む。 そうすると良い事がいろいろあるわけですが、その一つに『世界を見る解像度が高くなる』という事があります。 この現象について説明したいと思います。 例えば、他人の写真を見ていると自分と同じようなものを思いもよらない視点から撮っている人に出会うと思います。 その時ものの見方は一つじゃないという事に気づきます。 翻って自分の写真にももっと違う視点があるんじゃないか、もっと違う切り取り方があるんじゃないかと自分の視点や切り取り方などを

モニターからと紙からの情報と脳の受け止め方モードの話

モニターから発せられる光と、紙から反射される光とで僕らの脳は自動的に受け止め方のモードが切り替わるという興味深い話をみつけました。 モニターからの情報に対しては脳が受動的になり、送られてきた情報をそのまま受け止めようとする。 一方で紙からの情報に対しては、分析したり批評したり能動的になりやすい。 のだそうです。 これを写真に置き換えて考えると、モニターで見ていると全く気づかなかった「アラ」が、紙にプリントした途端に見えてくるって事が良くあるんですよね。 変なノイズに

森山大道さんの「光と影」

山形県酒田市の「出羽遊心館」で、森山大道さんの写真展をやっているのです。 ここ山形ではもちろん初の森山さんの写真展です。18日までですので写真好きな方はぜひ。おすすめいたします。 で、ぼくは今日行ってきました。 凄く良かったです。 行って良かった。 森山さんといえば、という感じのゴリゴリのストリートフォトは見れなかったけどそれでも凄く良かった。 特に「遠野2014」のプリントが良かった。 キヤノンサロンの企画での作品で、キヤノンの当時の技術の全てを尽くしてプリントした