あいつや。あいつが、ウチを女にしたんや…。

どうでもいいことから中心に書いていきます。

どうでもいいといえば、やっぱり私の初恋ですかね。

どれを恋とカウントするかにもよるけど、幼いわりに燃えていたものからカウント始めましょう。
(あなたのキスを数えましょうみたいになってすみません)

それでは小3の初恋を、だ・である調で書いていきます。


名前をK君とする。
このイニシャルは、彼の本名の苗字でも名前でもない。仮名だ。イニシャルなのにだ。

K君は、ヤンママの一家で育ったので、なんかイケていた。お姉ちゃんとかもなんかイケていた。ボロめの家に住んでいた。タフだった。でもその倍くらいボロい家に私は住んでいた。

顔もかなり恵まれていて、こいつジャニーズ入ればいいのにな、と思っていた。

こいつ、と呼ぶくらい最初は嫌いだった。転校生で容姿にも恵まれてアホで明るくてスポーツも出来たのでクラスの女子の人気者だったけど、あたしゃ認めなかった。女の子に、ブース、と言って追いかけられる、女の子も嬉しそうに追いかけている、その遊びがマジでおもんないし、一回私もブースと言って逃げられたけど、ブスだから追いかけなかったし、隣の席になったら毎日消しゴムを忘れてきて、貸してと当たり前に言ってくるのでマジで持ってこいや!!と腹立たしく思っていた。でも連絡帳の字は意外に綺麗なんかい、ということを私は隣の席だから知っていた。休み時間に女子がK君不在の席にやってきて連絡帳をペラペラ見て、意外と字綺麗なんやー、と言ったとき、私は心の中で、そうやで、意外と字綺麗なんやで、と思っていた。

私は、男みたいに遊ぶタイプだった。自転車にスピードメーターを付けたり、公園で釣りをしていた。

多分転機は、教室の後ろで地転の練習をするようになった頃だ。
私とK君と、もうひとりの男友達のS君は、3人とも、地転が出来るようになりたかった。
休み時間は教室の後ろでひたすら、何度床に背中を打ちつけても、とにかく宙を回った。もう途中から、派手に背中を打ちつける奴ほど、おもろい、みたいな感じになっていた。

そんなこんなで、もう、とにかくKに認められたい、みたいな日々になっていたのかもしれない。

ずっとK君って書いてたけど、実は男子を君付けで呼ぶ風習がなかったので、Kと書いたら不意に夏目漱石の"こころ"みたいになってしまった。

話を戻す。そうして休み時間はK達と遊ぶ、学校が終わったらK達と遊ぶ、みたいな日々を送っていて、私の今の好きな人はK、って感じだった。そのころの私は小学校1年生の頃からずっと、今はこの人、みたいな感じで絶えず好きな子がいるのが当たり前で、好きな子居ないっていう友達のことを、本気で嘘ついてると思っていた。地球の真理だと思っていたのだ。(今の私からすると考えられない)
で、今はK、の時期はそれまでの男よりは長く続いたのだが、それまでの1年生、2年生の恋は、"一番お気に入りの男子"みたいな感覚だったのに比べて、Kとの日々は胸とかちゃんと締め付けられたりしたし、かくれんぼも警ドロもトレンディーだったし、あとの話になるがK以降、めっきり好きな人ができなくなって、未練という言葉を早くも覚えてしまったのである。だからこれを初恋とカウントしたわけである。あいつや。あいつが、ウチを女にしたんや、、、。

ある日の掃除の時間にKが、俺の好きな人教えたろか、と言ってきたので、教えてや、と言うと、Kは無言で私を指差した。私は、後ろを振り向いて、ちょうど私の後ろを横切ったRちゃんを見て、Rちゃん?と聞いてみるという、あらゆるパターンの中で一番ダサい返しをした。私のことを好きに違いないと確信しているにもかかわらず、だ。
Kは、ううん、お前、と言ってくれた。トレンディー。

そして私がこの初恋の中で一番心に残っているプレゼント交換事件が起こる。


つづく

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