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ヌルデの木の「虫こぶ」とは? そのメカニズムは?

日頃の散歩道の山際で、2023年11月26日、木の枝にぶら下がっている物を見つけた。何物か分からんかったのでネット検索の結果“ヌルデの虫こぶ”と判明した。
“ヌルデの虫こぶ”ってなんだろう。
ヌルデ(白膠木)は、ウルシ科ヌルデ属の落葉小高木。別名“フシノキ”“カチノキ”。雌雄異株。葉は互生し、葉軸に翼がある。これがよく似ている“櫨の木”との区別のポイントとなる。
虫こぶを見つけた場所に3本のヌルデの雄木だったが別の場所にあるヌルデの雄木には虫こぶは発生していなかった。又、別の場所の雌木にも発生していなかった。生息しているエリアが限定されているのかなぁ?素人には判らない。

ヌルデの虫こぶ

”虫こぶ“は、ヌルデシロアブラムシという虫が葉などに寄生してできるものです

2023年11月26日 
10月頃が最大の大きさになる(中で“幹母(かんぼ)が無性生殖で”胎生雌虫“を産み増殖していく)

2023年11月26日 散歩の途中で見つけた。3本のヌルデの枝にぶら下がっている。形も様々です。

”虫こぶ“の形成されるメカニズムは?

春にヌルデシロアブラムシの卵から孵った「幹母」と呼ばれる雌が、寄生するためヌルデに「虫こぶ形成物質」を注入すると、注入された箇所の組織が隆起し幹母を包み込む様に虫こぶを形成する。その虫こぶの中で幹母は無性生殖で「胎生雌虫」と呼ばれる雌の子を産み、この胎生雌虫も無性生殖を行なって、虫こぶの中で3〜4世代ほど世代交代を行うようです

秋が近づく頃、それまで羽のない「無翅型」だった胎生雌虫は羽のある「有翅型」に世代交代し、この有翅型が虫こぶを破って外に出て、二次寄生であるコケ植物のチョウチンゴケに移動して冬を越します。春になるとこの有翅型雌虫がヌルデに戻って無性生殖で雌雄の幼虫を産みます。ここでやって雄が登場し、この雌雄の虫が有性生殖を行って卵を産み、この卵から「幹母」が生まれて、もう一度1年かけて同じことが繰り返される。

興味半分で虫こぶを破ってみたらびっくり‼️

数えきれない「ヌルデシロアブラムシ」が詰まってる

有翅型の中に大きな虫が動いていた。これが「幹母」だろうか?

「幹母」?

有翅型に成長して動き回っている

2023年12月16日

紅葉🍁

小葉と小葉の間の葉軸に翼がある事が特徴です。

この虫こぶに穴が空いている。有翅型成長のヌルデシロアブラムシが飛び出したのかなぁ?

”虫こぶ“も変色してきた

2024年1月4日
残ってる“虫こぶ”はこの1個となった。他は落下したのだろう

2024年1月14日

2024年1月23日
随分と萎んできた感じがする。果たして中はどうなっているのだろうか?穴の開いた形跡はない。中で越冬? わからないです。

2024年1月23日
ムルデの実がまだ枝に残っていた。櫨の木の実と色が全く違います。

五倍子(ごばいし)とは?

虫こぶ組織にはタンニンなど多量に含んでいる。ルルデシロアブラムシが抜けたあとの虫こぶを乾燥させたものを「五倍子」と呼んで、粉にしたものを「5倍子粉(ふしこ)と呼び、タンニンの成分を生薬として用いる他染料にも用いられた。


ヌカルデアブラムシの活動のおさらいです

① 新緑の頃に1匹のアブラムシがヌルデの葉に物質を注入して虫こぶを作る

②夏から秋にかけて虫こぶの中で、翅(はね)のないアブタムシが繁殖を繰り返し、秋になると翅の生えたアブラムシが生まれて来ます

③虫こぶに穴が開くと、翅の生えたアブラムシが虫こぶを飛び出して、特定の種類のコケ(チョウチンゴケの仲間)に卵を産んで、幼虫は越冬する

以上、ヌルデ虫こぶに纏わるお話です


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