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追加・来賀友志さんの思い出

これ↓についていろいろ反応があったので、

それに関連して書き落としたことなどを書こうと。

先月、俺がMリーグ記事をいっぱい書いたことで新たに購読を始めた20人くらいの人は、「なんだよ、Mリーグの話が多いのかと思って入ったら、大昔のヤクザ漫画の話なんて知らねーよ」って思うんじゃないか。

すいません。ヤクザ漫画じゃなくて麻雀漫画なんですけど、まあ区別つきませんよね。老人は昔話を始めたら止まらなくなっちまうので、お許しください。

あと、なぜ「天牌」は成功したか?について、自分の意見を書いてなかったことに気づいたので、まずはそれから。

1.なぜ「天牌」は成功したか?

これはね、前回( ゚д゚)ポカーンと書いた通り、前もって予測できたわけじゃないし、基本は後付けの説明です。自分でも半信半疑のまま仮説をいくつか挙げていく感じ。

昔から来賀さんの話の特徴として、キャラよりも麻雀自体が主人公、重すぎる、辛気臭すぎる、博打的すぎる、などがあります。

全員が麻雀に命を懸けていて、目の前の麻雀に勝つためなら腕が一本なくなってもいいわ的な感性です。重すぎるんだよね。

嶺岸さんの絵がまた重い。

90年代の時点ですでに重すぎたのに、それがなぜ、さらに時間が経過したあとで「天牌」はヒットしたのか?

不思議だよね。ほんとわかんねー(==)ウム  思いつく仮説は以下↓

・黒沢さんのキャラが良かった
・脇役が充実した
・遼、北岡などチャラいキャラが成功
・週刊誌連載の自由度の高さ
・競技麻雀をやってない
・嶺岸さんの絵が変わった

順番にいこう。

・黒沢さんのキャラが良かった

来賀漫画っていつも超人がいて、そいつが麻雀打ちとして完成されており、説教をかます。黒沢さんはその超人ポジションなんだけど、今までの漫画に比べて好感を持ちやすかったかも。

「外伝」の評価の高さからも、これはあるかもしれない。実質ホームレスなのも良かったのかな?

他の漫画の超人キャラは、たとえば「鉄砲」ではこれ↓

感じ悪すぎるだろ。こんなやつの説教なんて聞きたくねーよ(´;ω;`)ウゥゥ

「てっぺん」ではメンターがこれ↓

しょぼすぎるだろ(´;ω;`)ウッ… こんなジジイが最強だって言われて説得力ある?

ここらへんは嶺岸さんの問題かもしれない。

こういう例を見ると、黒沢さんが良かったのはわかる。

・脇役が充実した

これは間違いない。来賀さんの成功作「天牌」と「あぶれもん」は脇役がいい。

他は、駄目な作品は本当に駄目だかんなぁ。「鉄砲」とか「ゴロ」なんて脇役の名前を覚えらんねーよ。

どうすればいい脇役を作れるか? それがわかってたら俺が人気原作者になってるわ。

これは後の項目でもあるんだけど、「天牌」は週刊誌連載だから話がどんどん進む。余裕を持って脇役を描けたというのはありそう。

月刊誌は、月に1回しかないから、いろいろノルマがあるんだよ。麻雀を打たない回は露骨に人気が下がるし、1ヵ月に1回しかないから話をある程度は進めろよっていうのがある。月刊誌って、つなぎだけの内容にはできないのよ。つっても「あぶれもん」は月刊誌で成功したけどね。

なんにせよ、成功作である「天牌」と「あぶれもん」はキャラがいい。他作はキャラがイマイチだ。

これ↓は「天牌」6巻から。

ほら、主人公に負けるための使い捨てキャラにも関わらず、顔が野獣みたいじゃん。いいわ。

・遼、北岡などチャラいキャラが成功

「天牌」は若くてチャラいキャラがいるから、雰囲気が重くならない。

遼や北岡は、バブル期のオッサンかよ?みたいな発言もあって、本当に若者的なのかあやしいけど、それでもチャラい若者的な雰囲気にうまく持っていけてる。

20巻より↓

ほら、バブル期のビートたけしみたいじゃん。これが若者の感性なのか疑問だ。でもね、漫画つーのは、絵的に若者っぽく見えたら、それでいけちゃうのよ。

これまた、嶺岸さんが上手くやれたって話でもある。

・週刊誌連載の自由度の高さ

これ↓は「天牌」の21巻から。

どーよ、このコマ割り。この躍動感。すごくない? 

2pでツモアガリした。たったそれだけで7ページも使ってる。7ページ中にセリフは3つくらいしかねー。

来賀さんが先に原作をまとめて渡し、嶺岸さんが自由な分量を使って大胆に構成してるから、こんなことができる。

全員の顔を入れるのはわかるけど、全体状況の1ページをさらに入れてるのがすごい。

この長野決戦は、笹の葉がザザっていうだけで2ページ使ったりとか、大胆な構成が目立つ。こういうのが躍動感なんだよな。

週刊誌連載だからこういう描き方ができる。

ト書き↓の

言いようのない
ネバネバとさえした
厚い空気の重たさが
隣室へも及んだ

って下手な日本語だなーと思うけど、そういうのは別にいいんだね。

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