新規客が東風5回打って出禁になるまで
秋も深まりつつある日曜日のこと、愚かな初老のおっさんは歌舞伎町を目指してた。
歌舞伎町、それは麻雀を打つ者にとって特別な意味を持つ場所だ。それはそれは恐ろしい麻雀が打たれており、実力ない者が歌舞伎町麻雀に片足をつっこむと、1日にして髪の毛が蒸発し白髪になってしまうという。
愚かな初老のおっさんは、もともと愚かではあったのだが、歌舞伎町麻雀に脳みそを焼かれて他の麻雀を打てなくなった。この日も、老後の金を握りしめて麻雀に向かっていた。
夜21時、愚かな初老のおっさんは新宿に着き、馬鹿店に入った。
馬鹿店、ここは歌舞伎町のフリー雀荘の中ではかなりマシな部類に入る。ネオ祝儀インフレが激しい歌舞伎町にあって、ここはインフレ度が下から3番目に位置している。
愚かな初老のおっさんは、愚かだからインフレ度が高い他店に挑戦したこともあった。そのたびに髪の毛は守れたものの財布が炎上した。空になった財布を抱えて泣きながら帰る羽目になり、今では馬鹿店にしか行かなくなってしまった。
これはそんな愚かな初老のおっさんが、新規客が出禁になるまでの一部始終を目撃する物語である。
馬鹿店に入ると、がらーんとしている。これはネオ祝儀インフレ店に客が流れてしまったからではなくて日曜日だから。歌舞伎町に通う客だって人の子。日曜夜にはおとなしくなる。
愚かな初老のおっさんが待ち席にいると、そこにマスクマンが来店した。マスクとはミルマスカラスみたいなマスクではなくて、コロナのころ日本人全員がつけてたようなやつだ。今はマスクをつけてないけど、以前はいつもマスクしててマスクマンというコードネームが確立してるのでマスクマンと呼ぼう。
新卓を立てることになった。メンツはマスクマン、店長、メンバーやさぐれ。
1戦目
東1、親でラッキーにもペン3mを引けて先制リーチ。
店長から5mが出た。裏が乗って7700点の1枚。
東2、役牌ドラをポンしてマンガンロン。
東3、2000点の1枚ロン。
オーラス、ダンラスの店長が頑張った。親マンをツモって首なし2着に浮上。ここで2着やめ。
俺はマルエイのトップ。上々のスタートだ。
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