見出し画像

意識高い系雀荘という地獄

初めて行く雀荘というものは我々に夢を見せる。

今度こそいいことがあるんじゃないか。

これまでどの雀荘に行ってもいいことはなかった。それを何十軒くり返してきたことか。しかし、ついに今度こそ勝ちまくりで、美女と一緒に札束風呂に入る生活を送れるんじゃないか。そんな夢を見せてくれるのが新たに通うことになったフリー雀荘なのだ。

麻雀民とは、どこの店に通っても異世界転生は起きないという現実を永遠に受け入れられない子どもなのである。

そんな愚かな麻雀民の中でも、ことさら愚かなのがレートアップを合体させる者たちだ。低いレートでは勝てなかったのに、なぜレートが高くなったら勝てると思うのか。愚かとしかいいようがない。

今の歌舞伎町には激しいインフレが起きてる。するとゲーム代比率が下がるから純黒になりやすいんじゃ? そんな愚かな考えに取りつかれ、通ってしまう者たちがいる。

初老にもなって、フリー雀荘のポイントカードを満タンにするために通うほど愚かな行為はあるんだろうか。マブダチの福ちゃんならこう言うだろう。

そんなことしてる暇があったら、みずほ銀行に眠ってる資金を米国株に移したら?

うう、1ミリも反論できねー。

い、いや、違う。違うぞ。株にしてたら今回の暴落に巻き込まれてたじゃねーか。そう、株は暴落するけど貯めたポイントは暴落しない。アドゲーのほうが価値ある…かも。

まぁ正確には、アドゲーが勝ってるのは、暴落に巻き込まれないことくらいだけどね。株の勝ちに決まってる。

アドゲー中毒症患者ほど愚かな者はいない。唯一の救いは他人に迷惑をかけない馬鹿だということだ。世の中、他人に迷惑をかけるものばかりの中で、これほど愛すべき馬鹿はいるだろうか?

さて、夏の暑い日こそ麻雀を打ちたくなってしまう。8/1はパイの日であることを身体が遺伝子的に知ってるのか、ふらふらと歌舞伎町に吸い寄せられてしまった。

馬鹿店に行くか黒船店に行くか迷った。だいぶ迷った末、ポイントカード満タンというミッションを優先して黒船店にした。

木曜日15時。店に入った。

また元プロの雀ゴロがいる。前に行ったことあるマンションの話をしたときに、彼も行ったことあると言ってたな。あらゆる場に顔を出してんのかよ。

知らんおっさんがいる。でも他の人たちは同じ顔ばっかだなあ。

俺が行ったことで、寿司を食いに行ってるメンバーが戻るのを待って2卓目を立てることになった。

しばらくして卓が立った。メンツは短パンブレスレット、メガネ戦車、イケメンメンバー君。短パンブレスレットは初来店時に下家にいた人だな。

1戦目

3着。

2戦目

東1の序盤に小四喜の横移動。

東と南をポンした手。カン7p。

自分の手に西がトイツだったから小四喜はないと思ってたわ。びっくり。

上家のメガネ戦車が刺さった。まだ5巡目とか。俺は座り3着。座り2着と座り3着の差は席だけだから、つかないといえばつかない。しかしそれよりも自分がつかまなくてラッキーだったという安堵のほうが大きい。

ラス20枚+役満祝儀20枚+飛び4枚=44枚。他人事ながらなんちゅー地獄だ。

ここから先は

4,114字 / 4画像
この記事のみ ¥ 191

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?