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友だちの死

友だちのフリーライターが亡くなった。

FBで知った。2日前に亡くなったと本人のアカウントにご家族から書き込みがあった。

死因は書かれてない。52歳か53歳。

すごく健康的な生活をしてたはず。田舎に住んでて、庭でバジルを作ってペーストにしたり、庭で作った何かをジャムにしたりみたいなことが趣味だった。

朝早く起きて、午前中はずっと仕事して、午後は園芸をやって、健康的なものを食って夜早く寝るみたいな生活だったんじゃないかと思う。

彼と会ったことは一度しかない。

きっかけは俺が彼の本をブログで紹介したこと。これ↓

この本が非常に面白かったから。このときは彼の名前を知らなかった。
※今気づいたけど、これってブログを始めた最初の月の記事だった。

日経ビジネスオンラインというサイトが当時あって、その後、同じ本をそこの書評コーナーで紹介したこともあった。

ふつう将棋ドキュメントみたいな本って人間ドラマなんだよね。

それはいいとして、ただ感情ドラマだけでは甘くて、社会的な面あるいはお金の流れなどに踏み込んでないと、大人が読むノンフィクションとしては不足になる。どこの組織であっても、組織の根幹は金と人事であって、そういうのを抜きにして夢をかなえるみたいなやつは、20代までしか通用しない。

この本はそういう部分がすぐれてた。女流棋士の収入や待遇などにも言及されてて。

1人のアマチュアのプロ入りを認めるかどうかというのは、将棋棋士全体に入るお金をどう分配するかって話になってくる。その分配にあずかれてない、アマチュア、奨励会員、女流棋士のバトルになり、勝った者が多少の分配にあずかれる。その勝負を興行として行うという方針を、当時の米長会長は取ったのだった。

そんな話だ。

この本を読んだとき、この名も知らないライターさんは、どうしてこんなことまで知ってるのか? 彼は将棋界とどう関わってる人なのか? そんな疑問が残った。この本には、前書きや後書きがなかったから、なおさら。

俺がこの本を自分のブログと日経ビジネスオンラインで2回も紹介したことで、読売新聞の将棋担当の方が竜王就位式に招待してくれた。渡辺竜王や米長会長と初めて会ったわ。

その場で、このライターの方と初めて会い、いろいろ教えてもらった。じつはこの本には、将棋界に精通する読売新聞記者がかなり加筆していたと。業界の暗部まで踏み込んで書けた理由がそのとき氷解した。

このライターさんとはそれ以来会ってない。ただ、FBでつながってて、ときどきやり取りをしてた。

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