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魔の歌舞伎町ルール

『麻雀界』1/1発売号に掲載されているコラムです。ぼくの大好きなアドゲーの話です。ちょうど摘発があったので。雑誌ではお金の表現などが一部修正されていましたけど、これは修正される前のバージョンです。

アドゲー中毒

今回はぼくが「アドゲー」と呼んでいる麻雀について書こうと思います。アドゲーとは「アドレナリンを出すだけのゲーム」の略です。

というか、そもそも麻雀自体がそういうゲームであり、世界中の麻雀で日本麻雀にしかないリーチ、ドラなど、ドキドキ度を高めるためのルールです。一発や裏ドラなど完全にそうですよね。

たまに麻雀について、相手の手を推理し合う頭脳的ゲームであるみたいな語られ方を目にしますけど、おいおい、何を言ってるんだ、麻雀は推理なんてほとんど通用しないからドキドキして脳汁を出すためのゲームだろ、と思います。

日本麻雀のルール変遷を見てみると、戦前までは頭脳ゲームになっていく可能性もあったと思いますが、戦後になってリーチやドラが登場し、ただアドレナリンを出すゲームへの道を歩み始めました。

考えてみると、戦前でも振り込み一人払いへの変更(昭和6年頃)から、その道は決まっていた気もします。

理不尽な偶然にドキドキすることが今の麻雀の本質です。

その傾向をさらに推し進めたのがアドゲーです。東京の新宿歌舞伎町のフリー雀荘が発信源となっています。

これが楽しいんですわ。中毒性があって、アドゲーの味を覚えるとアドゲー以外の麻雀は刺激が足りなくなります。

店によってルールの細部は違いますが、共通する特徴を列挙してみましょう。

・東風戦(トップ者が2万7600点以上ないと南入するみたいな条件付き東南戦が多い)
・祝儀牌が3~6枚程度入っている
・一発、裏ドラ、赤牌につく祝儀が1万点相当と非常に高く、2万点相当、3万点相当の牌もある
・白ポッチが1枚入っており、リーチ後にツモるとオールマイティとなる
・1本場1500点と積み場が高い

最大の特徴はカラフルな祝儀牌の存在です。今では一般的な麻雀でも、赤5m、赤5p、赤5sは常識化していますが、アドゲーではさらに金5p、緑5m、青5s、紫5p、虹5p、ゼブラ5pなど、あやしい食虫植物のように百花繚乱です。

色狂いゲーム

1万点相当の祝儀牌の存在だけで異常であり、ツモると3人からもらえますから、役牌ポン赤1枚の2000点の手が、祝儀は1万点オールです。役満に匹敵します。

さらに2万点相当、3万点相当となったら、とてつもない破壊力となります。役牌ポン虹1枚の2000点の手が、ツモると祝儀は3万点オールです。そんな手をテンパイしたら、心の中で「ツモらせてください」と神様に100回お願いします。

配牌を取ったとき、そういう牌があったら、それだけでテンションが上がります。

途中で他家からリーチが入ったら、押すか引くか悶え死にそうになります。自分に強力な祝儀牌があるといっても、相手にだってあるかもしれません。

アドゲーではみんな仕掛けが早いので、序盤から複数人が複数鳴くのはザラです。虹を持ってる人vs金を持ってる人vs赤を2枚持ってる人vs何もないので早く流してしまいたい人みたいな戦いになります。

オリてもツモられたら祝儀を取られます。自然と前に出て殴り合う麻雀になります。

通常の麻雀ではオリなきゃいけない退屈な時間があるもんですけど、アドゲーでは退屈している暇などなく、前に出て殴り合いになります。

ぼくの経験では、この前こんな手をリーチしたときは脳の血管が切れそうになりました。

あどげー1

便宜的に赤で表示してありますが、赤4枚のうち1枚は虹、2枚は金です。高めでリーチタンヤオ三色赤金金虹で、ツモると祝儀が8枚オールになります。

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