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元フリー雀荘店長による従業員に訴えられた体験談

今回は匿名条件の方から寄稿していただいた文章になります。
今回も前置きが多少長いので、前半は読み飛ばして元従業員が金を要求してきたところから読むの推奨です。

以下が寄稿していただいた文章です↓
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点5のフリー雀荘を開店した

私は関西地方の今はなきフリー雀荘の元店長です。「従業員が経営者を訴えると必ず勝てる」↓を地で行くような経験をしましたので投稿させて頂きます。

店は点5の三人打ちフリー雀荘でした。ゲーム代は1回300円+トップ賞100円で、1卓1,000円という設定のお店。お昼から深夜まで毎日約12時間のフリー営業、3人打ちにつきスタッフは2名常駐のスタイルでした。

オーナーは初めての雀荘経営で、4卓しかない小規模店を居抜きで借りる形で始めた店舗です。

私は開店当初、というか開店準備から二人三脚、むしろ準備段階はほとんど私が主導でやった自負があります。そのため開店前の月は半分以上開店準備に駆け回っていましたが、それに対しての報酬は一銭もなし。まあ、それは事前に話し合ってなかった私が悪いので、良しとしましょう(良くないけど)。

そんなこんなで始まったお店。当初オーナーと2人で月25日くらいずつ出勤して、それ以外を埋める週1~2回出てくれるスタッフとして私の知人を1人雇ってスタートしました。そのスタッフの紹介で1人、雀荘検索サイトに出していた求人に応募があってまた1人、と少しずつスタッフが増えていき、徐々にオーナーの負担が減っていきました。

なかでも知人の紹介で入ってくれたスタッフがしっかりシフトに入りたいということだったので副店長というポジションを与えて、私とそのスタッフだけが月契約、他は時給という給与体系になりました。

御多分に漏れず正当な報酬をもらってない状況

報酬は具体的には店長の私が月30万円、副店長が月25万円。その他のスタッフは時給1,000円で、全員がゲーム代半額負担(トップ賞は全額負担)という取り決めでした。

私と副店長は目安として月260時間程度のシフトで、おたがいなるべく相手の都合に合わせてカバーし合うが、2人とも休みたい日があれば基本的に月給が多い私が譲る感じ。5万円の月給差はそれだけでなく、対外的な交渉やあらゆる雑務、そして関西地方ではよくある“ヤカラ”との対峙も私が全部受け持つことで、まあ整合性のある取り決めではあったと思います。つまり私も彼も25万円部分が「260時間勤務に対する基本給」だとすれば、この時点でギリギリ法律の定める最低時給を下回っていた可能性がありそうですが…まあそれは置いておきましょう。

私も副店長の彼も、そしてそれ以外の時給契約のスタッフ全員も、ゲーム代の半額負担を合わせれば、先の記事の本来もらうべき「正当な報酬をもらっていない」状況なのは明らかですね。

私と副店長は月200~400回本走(自腹で賭け麻雀を打つ状況)に入っていたので、260時間で25万円-(ゲーム代半額150円×300)-(トップ賞100円×100)=19.5万円ぐらいが標準。つまり時給750円(19.5万/260時間)から、賭け麻雀の収支が増減される、という感じでした。

この状況に関して、私自身は最大の「被害者」であると同時に、このシステムを運営する側に携わっていたので、ある意味「加害者」の意識も正直ありました。

またほとんどの月で赤字だった店の収支は当然オーナーが1人で被っていたので、オーナーが決めた報酬額に関して異を唱えるつもりはありませんでした。さらに言えば、もし私が若く美しい女性であればもっとお店の収支が改善したかもしれませんから(オーナーも私も中年男性です)、自分を含めスタッフにこれ以上良い待遇を与えられない集客上の責任も感じていました。

過労死ライン超えで時給300円台の月も

麻雀の収支はコンスタントにそこそこ勝っていましたが、マイナスの月も当然あります。しかも立場上、お客様の収支をコントロールすることもありましたので、場合によってはかなり負けが込む月もありました。

余談になりますが、振り込んで負けた際に「お客さんのためにわざと負けた」「差し込んであげた」的な負け惜しみ発言を裏でするスタッフはよくいます。ですが本当に負けが込んでいるお客さんを勝たせるなら、とくに三麻では「何もしない」のが一番です。打点が高く、ツモの被害も大きい三人打ちでは、1人が何もしなければ残る2人はほぼ50%の確率でアガリ番が来るのですから、まあだいたいは調子を取り戻してくれます。お客さん+スタッフ+自分の卓組であれば、序盤はスタッフの役牌を絞り中盤は危険牌を絞ったうえで自分は手を組まなければ、自然にお客さんが勝ってくれるでしょう。正確に勝たせたい人の待ちを読む能力がなくても、もう一人の進行具合や鳴きたい気配や危険牌だけ読めば、「何もしない」だけでかなりコントロールできるのが三麻だと思います。

そんなわけで、例えば4連続ラスを引いたお客さんを5回目には必ず勝たせるのも店長の大事な任務だと思っていましたので、そもそもそこまで強いわけでもない私ではどうしても負け続けるときが出てきます。なんせ麻雀の収支がトントンでも「月給19万円・時給750円」程度なのですから、そこから10万近く負けて月給が10万円という月も、おそらく1、2回はあったと思います。

いい大人が、月260時間働いて10万円。一般企業ならば過労死ライン「月144時間+残業100時間」を軽く超える時間働いて、10万円ですよ。時給に換算すると300円台ということになります。恐ろしいですね。

それでも4年間近く、閉店まで勤め上げたんですが…3年目に事件が起きました。それが「元メンバーから訴えられる」という今回の主旨となる話です。

元メンバー2人が200万円近くを要求

2年ほど経った頃に副店長が辞め、また2年目に採用したスタッフの1人も半年ほどの勤務を経て同じころに辞めました。

2人は示し合わせて辞めた訳ではなく、副店長は円満退店、スタッフの方はオーナーと折り合いが悪くなって辞めた感じでしたが、辞めてから数ヶ月後、なんとその2人が揃ってお店を訴えてきたのです。

正確に言えば、辞めたうちの片方が、もう片方の委任状をもって2人分の「正当な報酬」を要求してきた、という形でした。

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