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リア充は幸せか?

久しぶりに過去のブログからの転載です。13年前の文章。
われながら鬱すぎて面白い(≧▽≦)
今の観点から少し書き直してます。

 * * * * *

「リア充」という言葉がある。「リアルが充実している人」という意味で、彼氏彼女がいたり、仕事や学業がちゃんとしてたり、友人関係が豊かだったり、家族が仲良かったり、そんなことだ。

2ヵ月ほど前、雑スレ(2ちゃんねる 麻雀板の天鳳スレッド)にこんな書き込みがあった。

972 :焼き鳥名無しさん :2008/10/18(土) 15:42:50 ID:???
俺一回オフ会いったことあるんだよね。
もう、本当死にたくなったね。
981 :焼き鳥名無しさん :2008/10/18(土) 15:44:31 ID:???
>>972
何で?
992 :焼き鳥名無しさん :2008/10/18(土) 15:46:45 ID:???
>>981
周りみんなリア充なんだよ。
7、8人ぐらい居たんだけど何かめちゃくちゃ空気になったんだよね。
頑張って輪に入ろうと喋りかけたらさ、何かいきなりシーンッってなっちゃってさ
もう本当。オフ会はダメだよ。
94 :焼き鳥名無しさん :2008/10/18(土) 16:48:07 ID:???
前スレ992は現代の悲劇だな
同情してしまう・・・

俺などは、既婚者で、子持ちで、仕事もしてるから、こういう書き込みをしている若者からすればキングオブリア充なんだろうけど、これを見て思い出したこと。今日はそんな話だ。

俺はけっこう若くして出来婚し、まるで心の準備もないまま26歳で子持ちになった。それまでは雀荘バイトの学生だったけど、そのときから少しはまともに働き始めた。

まともに働くといっても、麻雀漫画誌の編集という仕事だから、世間からすれば遊びみたいなもんだ。採用試験が倍率高くて厳しいんだけど、「12月には娘が産まれます、他の会社は受けてません」というのが受けたのか、入れてくれた。

その遊びのような仕事がつらくてたまらなかった。もうホント嫌で嫌でたまらなく、逃げられるものからはすべて逃げていた。自分の責任で何かを提案するようなことはいっさいしなかった。

それまでの雀荘バイトは、金の面ではむちゃくちゃ厳しかったけど、ちっともつらくなかった。同じ遊びのような仕事でも、一方は楽しかったのに、一方はまるで楽しくなかった。

会社員としての編集者はとにかく苦痛で、毎朝、会社に行くのがものすごく嫌だった。よくさぼったが、そうすると午後から行くのはもっと苦痛になり、一日さぼると次の日に行くのがなおさら苦痛になった。

我慢していれば、いずれは仕事も覚えて状態が良くなる……なんて、まるで思えなかった。だって逃げられる限り逃げているんだもん。仕事なんて覚えるはずがない。一週間連続で無断欠勤とかしていれば、いずれは首になるわけで、その日が来るまで逃げられるだけ逃げる。それしかなかった。

会社に同期に当たる人はいなかったし、俺みたいな新米の子持ちもいなかった。同じような下っ端は、みんな俺より若く、独身だった。子持ちなんてかなり上の管理職くらい。俺がひときわ年上で、子持ちで、金がなく、仕事ができず、一番さぼり魔だった。どうしようもなかった。

麻雀が一番強いことが救いだったが、その麻雀に関する仕事を何度もすっぽかし、そのつど信用を失っていった。周囲の人たちはかなり親切で、俺に対しても理解があり寛容だったが、俺はひたすら逃げるばかりで期待に応えられなかった。

俺は一刻も早く辞めたい仕事を、しかし辞めたら生活できないので、首になるまで逃げ続けながら、首になる日を一日でも先に延ばす。それしかなかった。スキルもないから、辞めたとしても新たな就職先など見つかるはずもない。できることは破局を少しでも先に延ばすことだけだった。未来がないこともつらかったが、金がないこともつらかった。麻雀で3万も負けると本当に死にたくなった。

しかし、家に帰るのもちっとも楽しくなかった。それどころか苦痛だった。よく赤ちゃんはかわいいというけど、ちっともそうは思えなかった。俺はもともとホームドラマ的なものは嫌いなんだ。温かい家族とか、そんなもんには興味がない。むしろ敵だ。そういう幸せな人間が、その道を外れた者を差別する側に回るんだ。子どもの誕生日に、ケーキにろうそくを立てて「ハピバースデイツーユ~♪」とか歌っても、ちっとも楽しくない。だから、家に帰るのも楽しくなかった。

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