見出し画像

無人漫喫での一夜

目が覚めたら異世界にいた。

いや、異世界はさすがにおおげさだな。異世界ってほどじゃないけど、和光市ってどこだよ?

ジャズダンスのレッスン後、ダチとその近所で路上飲みし、帰りの電車に乗った瞬間に意識を失った。次に意識を取り戻したときは終点だった。

和光市という駅。埼玉県ですな。

上りの電車はすでになし。

なんだこれは? 路上飲みをターゲットにした百合子の呪いか? 路上飲みした不届き者は異世界に飛ばしてしまうのか?

タクシーで帰ると1万円くらい? 場所はどこだって寝るという行為は一緒だから、1万円も払って帰りたくねーわ。

ほんとはこういう考え方は古いみたいだけどね。白饅頭先生は、知的生産の秘訣はいい寝具を買うことだと書いてた。どこで寝たって一緒だというのは20世紀の考え方で、今はいかに睡眠の質を上げるかがすべてだって考えるのができる人たちらしい。

まーいーわ。できない人で。俺は余計な金は使いたくねーんだ。

とはいえ、ここに安い宿泊環境があるかは不明。昔、同じように乗り越して赤羽のサウナで寝たときは、タクシー代と同じくらいの金額だから意味なかったと思った。

和光市駅の駅前ロータリーに出て、見回してみたら、お、漫喫が向かいのビルにあるじゃねーか。

俺は漫喫ソムリエなので、ここで見えた「自遊空間」という漫喫のカードも持ってる。まーまー新し目。まーまー高目のチェーン。まーいーんじゃねーの。このロゴマークの店↓

画像11

迷うことなく、その店に向かった。

行ってみたら、俺の知ってる漫喫のパターンとは違ってた。無人システム。入店するとき、すべてタッチパネルで自分で操作する。

画像1

こんなん初めて見たぞ。セルフレジの店は経験ある。でも無人は初めて。

完全な無人システムか。すごいね。マッドマックス感がある。

「俺は漫喫ソムリエだぞ」と、この店のカードを読み取らせたら、「このカードを作られた店舗はすでに閉鎖しているため、このカードは使えません。新たなカードをお作りください」と表示された。

マジかよ(;・∀・) 漫喫って条例で住所などを登録しなきゃならない。その登録をすべて機械でやんの? 面倒すぎる。

そう思ったけど、住所の登録はなかった。年齢や電話番号、身分証明書のスキャンなど。

席の種類を、フラット、リクライニングなど何種類かある中から選ぶのも自分で決める。

そんなに手間はかからず、手続きは終了した。出てきたレシートのQRコードを読み取らせると、入口のドアが開いた。

店内に入った。まだ誰にも会ってない。完全に無人っぽい。店内をうろうろしてる店員もいない。すげーなあ。なんか終末感あるぞ。

店内は広め。郊外店だもんな。

よく見てないけど、漫画の品ぞろえも充実してる風だった。雑誌のバックナンバーが大量にきちっと並べられてた。ここまでちゃんとそろってるのは見たことない気がする。ふつう雑誌のバックナンバーって2冊とか4冊とか6冊だ。ここはもっとあった。

画像2

スリッパ、毛布、クッションは各部屋に備え付けられてて、宿泊施設っぽい。

画像3

店内を探検してみた。日曜日深夜というのもあるのか客はすげー少なかった。

ここから先は

1,227字 / 7画像
この記事のみ ¥ 100
期間限定 PayPay支払いすると抽選でお得に!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?