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【映像クリティカルリスニング】#13 ~カロリーメイト 「今日、部長になった」篇 ~

第13回、今回はこちら

カロリーメイトのCM、毎度のことながら大作ですね。
今回もグッとくるいい作品です。
色んな部活動でのシーンを並列で描いてる本作ですが、編集の中で使われてるマッチカットが特徴的で、凄く作品との相性もいいと感じました。

まず音楽の入りがめちゃくちゃ好きです。
音楽inまでの比較的抑えられてるマスターボリューム、対比的にガツンとくる音楽
このレンジがあるからこそ、音楽がとても活きてきます。
特にこの音楽、最初に音を発するものは、ブレスです。
このブレスが同録より弱いと、音楽の持ってる雰囲気だったりが映像に活きてきませんし、音楽のインとして印象が薄いです。
そういう意味で、同録と音楽のバランスが良いと思いました。
欲を言えば、音楽ブレス前の台詞の落とし方がもう少し緩やかであればとは思いました。
体育館の残響がストンと無くなるのだけが、気持ちリバーブ残しながら緩やかに落ちれば、より音楽のブレスが活きてくる気もしました。
とはいえ、いろんな事情で、音楽のファイルに音をこぼすことができないことなども重々承知してるので、なんとも言えないところです…。

そして整音に関してですが、臨場感あってとても好きです。
基本は同録がメインではあると思いますが、同録との馴染ませ的にも効果を感じさせない音作りです。
ドキュメンタリー的な要素も強い本作で、The効果感は要らないと思ってます。
その中で、色んなスポーツの音に関しても基本的に同録を綺麗に抜きすぎず、アンビ感、ライブ感を残した整音をされています。

そして特に良いと思ったのは、同録の音作りです。
音楽部分の同録の整音に関しては、比較的トランジェントやアタック、言葉の芯が強すぎない整音をされています。
特にこういったシーンなど、音楽の元でのガヤ的な立ち位置にいる音の処理としては、お互い邪魔をせず両方を上手く聞かせることができます。
全体的に音楽がしっかり引っ張ってくれる中で、音楽としっかり馴染みの良いミックスとして、凄くいい音作りだと感じました。
といいつつ、00:37のバレーなど、ボーカルの隙間での「同録のON」の作り方も上手いなと思いました。

02:12のブレイク、煽り方とリバーブの飛ばしがとても効いてて、その上で転倒でピークを作るレンジが、本当に緊張感あって凄く好きです。
そこから02:25にかけてリバーブ成分を煽っていくのも人物の感情や葛藤が表現されてて凄くいいですよね。
こういうリバーブの使い方は、よくめまいシーンなどでも使われますよね。
そして、そのリバーブがフッと落ちて、叫ぶシーン。
リバーブの抜け方も、少年が「何か大事なことに気付いた」ような「葛藤を振り払った」ような見え方に聞こえて、とても効果的です。
またその叫びの台詞の最中、ガヤだったり環境音などがなく、叫び声のみなのもすごくいいです。
見てる身としては、自分がプレイしてるチームメイトなのかってくらいグッときます。
あえてこういった本来そこに存在するはずの音を抜いて台詞のみを活かすことによって、作品の中での印象度がグッと高まりますよね。

そしてそのドライな台詞から、音楽のブレス
このブレスのレベルも最初と同じで、バランスが本当にいい。
感情が乗ってくるミックスとはこういうことだなと思います。
本当に本作は、全体を通して、感情の乗せ方が上手だなと感じます。
音楽の転調もその点ではかなり活きていますが、そもそものミックスとして、特に同録のレベルコントロール、音楽のサビや映像としての見せ場での部活の音のフェーダーワーク、音楽のインやブレイクの煽り方など、本当に見てて感情が高まるようなバランスやダイナミックレンジがあります。
がむしゃら感や必死感がミックス的にも伝わってきます。
やっぱり、感情で握るフェーダーワークは泣けますね。

これでいて、音楽の歌詞や同録の台詞が何をいってるのかしっかり理解できるのも素晴らしいミックスな証拠だと思います。

本当いい作品で部活やりたくなりました。
中学生に戻りたいです…。

本日もご拝読ありがとうございました。
では、また明日〜。

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