文化人類学カフェ2015年4月
<暮らすこと>
見知らぬ街に引っ越しをしたとき、あなたはまず何をしますか?
「暮らし」がテーマだった今回の人類学カフェでは、そんな話になりました。どうやら2つのタイプにわかれるようです。
ひとつは最初に部屋を快適に整える「巣作り」派。
もうひとつが住処のまわりを確かめる(駅からどんな道を通るのかなど)「立地確認」派。
なんとなく前者は農耕民っぽいし、後者は狩猟民っぽい、というところでカフェは終わりました。
考えてみれば、ぼくは前者です。
6年前初めて誰も知らない舞鶴に降り立った時、家の中のことを放って、夕暮れ迫る街を歩きまわったことを思い出します。最初は車がなかったので、自分の足で細かい路地を確認しながら、日向ぼっこしている人たちを眺めて歩きました。何日もかけてそんなことをして、だんだんと街に身体をなじませていく。
「暮らし」の語源は「日暗し」だそうです。
暗くなるまで、日が暮れるまでの脈々と息づく日常のこと。人が生きていればどんな街にも「暮らし」があります。そこではそれぞれの日々の営みが互いに関係しながら奇跡のように街をつくっているのです。