No.108 春過ぎて

"春過ぎて夏来にけらし白妙の"
透き通る彼女の声が響く。

「衣干すてふ天の香具山」
彼女に続いて口ずさむ。


夏が来た事を告げる持統天皇の有名な歌。

でも何故今?
まだ白い衣のような雲は干されてないし、
なんなら結構湿ってる。

と、曇っていた空に目を遣ると、
彼女の声のように透き通った空があった。

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