No.205 要らない方の私

絶句した。

私の目の前には私の姿をしたモノがいる。

言葉通り私だ。
形だけでなく言葉や仕草に性格までも。

仮面を被り世渡り上手に徹する私ではなく、
だらしなくて口も悪い本来の私の姿だ。

ソイツは私にこう言った。
「私はアンタの要らない方。望み通り出てってやる」

そして私は、鉄仮面の裏側を失った。

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