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室内撮影で役立つ「フリッカー低減機能」

室内での撮影で起こる悩ましい現象

室内での撮影は、かなり悩ましいです。
というのは「露出が不足する」「シャッターのタイミングにより色合いが変わる」2つのことが起きるからです。

そのうち「露出が不足する」ことについては、フラッシュを使用するか、照明を追加することで解決します。
しかし、「色合いが変わる」のは問題であり、一流のプロフォトグラファーでも悩ましいことでした。
なぜなら、RAWで撮影しても、色合いを補正することが難しくなるからです。
では、色合いが変わる現象とはどういうことか?

室内で発生する「フリッカー」

室内照明では欠かせない蛍光灯、もしくはLEDといった「光源」ですが、それら照明は人間の目には見えない「フリッカー」が発生しています。
日本語で「点滅(ちらつき)という意味です。
フリッカーについて紹介します。
蛍光灯を照明として使用している室内では、撮影していると色合いが変わることがあります。例えば、こんな感じです。

通常の露出時の場合
(本来の照明色)
照明のフリッカー発生時の場合
(照明滅光時)

撮影場所:八幡カルチャーセンター
Canon EOS 7D Mark II
シャッタースピード「1/250秒」で高速連写

2枚目の写真に注目すると全体的に(特に床面)は黄色くなり、更に通常よりも暗く写っています。
このように、何枚かに1枚の割合で色合いが全然違ってきます。
というのは、照明は人間の目には見えない点滅が起こっているためです。
蛍光灯の点滅(ちらつき)は、1秒間に

電源周波数(50Hz/60Hz)×2

の回数で行われています。
私が住んでいる関西圏では60Hzで、60Hz×2=120回/秒の点滅
ということになります。

キヤノン一眼レフに搭載の「フリッカーレス」機能


照明におけるフリッカーによる”ちらつき”の現象を回避するために、最近ではフリッカー低減機能が一部のカメラに搭載されています。
この機能は、2014年10月に発売されたキヤノンの「EOS 7D Mark II」で初搭載ではないかと思われます。
※キヤノンEOSシリーズとして初、恐らく世界初でもあると思われます。
(それより前にあることをご存じの方、ご教授ください)

Canon EOS 7D Mark II
(2014年10月発売)
Canon EOS 7D Mark IIに搭載の「フリッカーレス」機能

富士フイルムでは「フリッカー低減」になるなど、メーカーによって機能名称が異なります。

フリッカーレス機能の図解
(Canon EOS 7D Mark II 製品カタログより)

この機能は、カメラが蛍光灯など光源の点滅を判断しシャッターのタイミングを遅らせるものです。これで、室内でも安定した色合いで撮影可能です

デメリットとしては   「レリーズタイムラグ」が長くなる場合があります。
(レリーズのタイミングをずらしているため)
具体的には「連写速度が低下する」「連写時のタイミングがずれる(リズムが崩れる)」などがあります。
例:最大10コマ/秒 → 9コマ/秒、などといったことが挙げられます。

とはいえ、色合いがバラバラになれば困ります。また、先に説明しましたが色の補正がしづらいのです。
なので、この機能は非常にありがたいです。
室内における撮影業務では、この機能を積極的に使っています。

この機能は残念ながら、スマートフォン、コンパクトデジカメ、古い一眼レフカメラなどにはありません。

2014年10月以降に発売されたキヤノン製一眼レフ/ミラーレスカメラには、エントリーモデル(EOS Kissシリーズ)を含めほとんどの機種に搭載されています。

最後に

プロカメラマンといえども、納品作業(補正を含む)の負担が軽くなれば、カメラに搭載の機能は積極的に使っています。
このフリッカー低減だけでなく、今後新しい革命を吹かせる機能が出てくるのか。
写真文化の発展に繋がるのであれば、大歓迎です。

お読みいただき、ありがとうございました!
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