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【あと54日】お金と俺とのヒストリー

なんてこった。

お金のことを読みとかねばと考え始めたら、親子関係から性から健康から全部絡んでくる!
はちゃめちゃに絡むやんなにこれ!!
そら混乱してエッジアウトするわ!!

やべぇ、コンプレックス三銃士の最強のやつや…。
全部が複雑に絡んでるから、それぞれの個別トピックをある程度理解してないと扱えなさそう。
それでいうなら自分が性→健康→(家族/パートナーシップ)→お金とステップを踏んで自己理解と改善に取り組んできたのも納得。
うまいことできてるなぁ、、

時系列で思い返してみよう。

お金に意識を向けて出てきた一番古い記憶は、小学校低学年くらいのこと。

俺のきょうだいの1人はとても倹約家で、いわばお金に細かい人だった。倹約家というか無駄の嫌いな人というイメージで、無駄なことをしない、無駄を出さないことに一種の美意識があったように思う。

そんなきょうだいと、親の価値観が全く違った。
親は子どもの頃貧しさに苦労したからなのか、食事や暮らしのお金について細やかなのを嫌う人たちだった。窮屈な感じが嫌だったのかもしれないし、子どもがお金に言及することを良しと思わなかったのかもしれない。
それゆえ、きょうだいがお金について細かく言うことをとても嫌い、しばしば強く叱りつけているのを、はたで見てきた。

きょうだいが不憫で、親がなぜそこまで厳しく言うのかが理解できず、親に泣きながら「きょうだいを叱らないで」と抗議の手紙を渡したこともある。
それくらい、きょうだいへの叱責は子ども心に厳しく感情的に見えていた。

そういう姿を見ていると、お金について細やかに管理したり、お金に意識を向けることは親の意に沿わないのではと感じるようになった。
また、親は、子が日常の中でゲームなど何かモノを欲することには渋い顔をしたが、本や体験や学びには糸目をつけず出してくれた。

おお、この辺に自分の現在の支出パターンが見える感じがある…。

ひとまず
・なんとなくお金と距離をとっておかないと、家族で居場所がなくなるという感覚 や、
・OKのお金とNGのお金がありそうな感じ
などが創られていったように思う。

時を経て成長し、俺は大学生になった。
バイトのイメージが飲食しかなかったため、ホテルのウェイター、飲食のホールなどを行ったが長く続かなかった。

何をとち狂ったのか、ホテルはバリバリにメイドさんみたいな女子制服のところに行ってしまい、慣れないパンプスも含めしばらく女装状態。(多分応募時に知らなかった)
体力仕事なのもあったが、異様にしんどかったのは絶対に性別違和のせいだと思う。

また、今思えばマルチタスク苦手な自分の性質と飲食のホールは全然相性が良くなかったのだが、当然合わずに長続きしなくて、働くことに自信を失っていった。
俺は、稼ぐ力がないんじゃないか?みんながスイスイこなしているバイトがこんなにできないなんて、何か欠陥があるんじゃ…。

そして迎えた、大学3年の就職活動。
しかし俺は、同時期にトランスジェンダー&バイセクシュアルとしてセクシュアリティの自覚とカミングアウトが始まりつつあった。
(のちに理解が進みパンロマンティックかなと思うようになる)

その中で、どうにか女性(仮)として生きてきたアイデンティティが崩壊し、それに伴い今までの興味関心ややってきたことも一旦全崩壊して、20歳以前の過去に全然実感が湧かなくなり、面接で全く語れなくなってしまった。

そこに追い討ちで、女性用のリクルートスーツやパンプス、戸籍名の履歴書、性別欄、「女子学生」として見られることへの強烈な違和感が重なり、相談した先のキャリアセンターや民間のカウンセリングでも理解が得られず二次被害となり、結果半引きこもりに。

そんなこんなで「ない内定」=内定0で、就職が決まらず卒業となった。

当然収入はない。

すると顔を合わせるたび、親に「仕事は見つかったか」「先のことはどう考えているんだ」などと問われるようになった。

けれど俺としては、砕けて飛び散った自分のかけらを集めるのに必死だった。
今、自分がなんなのか分からないのに、明日を生きるための金を稼ぐなんて未来のことを考える余裕なんてないし、第一どんな自分で仕事をしたらいいのか全然わからない。
暮らしの前に、総崩れしたアイデンティティを新たな土台に立て直さなきゃいけない。

でも当時は、一応母ときょうだいにはカミングアウトしていたものの、先方も驚いてその件はノータッチになっていたので、セクシュアリティの混乱がどれほど俺に影響を与えているかを説明できる環境でもコンディションでもなかった。
下手に説明して、甘えと捉えられるのも恐れていた。

混乱してたし知識も全然なくて、俺自身、「なんで仕事が探せないしできないんだろう」と、焦りと自責が募る一方だった。
このまま親に頼るのが辛すぎて、生活保護か?とこっそりリサーチした。しかし実家に連絡が行くらしいし、支払い能力があるなら無理っぽい(ちゃんと調べたら手はあるが当時は知らなかった)と諦めた。

今思えばわかる。あんな時に就活とかマジで無理だよ。

心情的にぐらついて物もまともに考えられず、半引きこもり状態も続いてとても就活どころではなかったので、親に頼って資金を払ってもらいしばらく暮らした。
その間に人の助けを借りながらピアサポートや情報と繋がり、セクシュアリティについては少しずつ取り組み始めた。

けれどなんせ金がない。
なんでこの社会は、生きてるだけでこうも金がかかるんだ。

どうやってあの時期を生き延びたのかあまり覚えてないが、ピアサポ先で繋がった人が相談員に誘ってくれて、相談のバイトを始めた。講演もその辺からちょこちょこ行き始め、その後、講演に連れていってくれていたトランスの先輩の縁でいただいた古本屋に就職した。

一時期はフルタイムで古本屋で働きながら、夜勤で相談仕事を週末と平日1-2日入れていた。仕事を終えて夜勤に行き、仮眠を取って次の日また出勤するのは、無茶くちゃ体にこたえた。

恋愛でも色々あり、そうこうしていたら体が限界を迎えたのか2015年に卵巣嚢腫で入院した。
手術を終えてから、体力が激落ちした上に、ストレスがかかるとすぐ体調に現れるようになってしまい、結局古本屋を退職。

その後は鍼灸院の受付とカルチャーセンター、相談と講演を掛け持ちしながら暮らした。鍼灸院は、家から激近&当時鍼灸に助けられていたので、鍼灸師も視野に入れて学びたかったため選んだが、体調が悪くてミスが重なり、鍼灸院のボスの先生に嫌われて「あなた鍼灸師向いてないよ」と真顔で詰められた。すげー怖かったが、責任感の強い人だったから、青い顔でぼんやり働く俺に相当ムカついたんだと思う。
その後体調を考慮しながらできるかと思い、せどりを学んだり販促記事のライティングなどもやってみたが、ギラギラした副業界隈の雰囲気や、思ってないことを書いたりやったりすることのストレスの方がよっぽど高くて続かなかった。

切羽詰まって「このままの外見の自分で働くために」と男装バーで働こうとしたが、視察だ!といった日が偶然定休日で、縁あって他のバーに拾ってもらいバーテンダーをやった。賄いや小遣いをもらってすごく良くしてもらったが、酒が飲めない上に、昼職と並行しての夜型の暮らしが体力的にできなくて、仕事も人も好きだったし評価もしてもらったがバーテンダーで生きる覚悟が持てずに渋々辞めた。
そんな日々の中、口座の残高が4000円になり、それが全財産だった時もある。

2017年に知人のNPOに拾ってもらったが、体調で何度か休職するなど自分の稼ぎが安定した時期はなかった。
たえず体調を崩して寝込んだり、友人を亡くしたり恋愛でいろいろあったりで、パニック障害も患いメンタルもボロボロだった。

手元の金の大半は、仕事の収入も親の支援も、とにかく生き延びるために体調のケアとカウンセリング、心の学びに注ぎ込んでどうにか生き延びてきた。

振り返ると、セクシュアリティの自覚と言語化が進んで安定し、学びがある程度落ち着いて心理的精神的な土台ができ、体調のケアも重ねて1ヶ月寝込むような崩し方をしなくなってきたのが、ようやくここ2年くらいだろうか。

それでもまだまだ生きづらさはあるけど、少しは自分の乗りこなし方が定まってきたのかもしれない。
そしてやっと今、満を持しての収入の安定や、お金周りの自己理解に手をつけようといったところか。

その間、かなり援助してくれている親には心から感謝がある。
その一方で、どこか複雑な思いとして、あーこれ認めたくないしすっげー嫌だけど…お金を介して実家とのつながり、もっというと愛されていることを実感しようとしてきたところもあったように思う。
先日書いたように、家族と心理的な繋がりを得にくかった分、困ったら手を差し伸べてくれるよね?それくらいには繋がってるよね?と、お金で繋がりを代替してた感は否めない。

あっ!この感じ、俺がパートナーシップにお金かけがちなのと絡んでるかも…!
金で繋がろうとしてるってこと?やだなにそれ!!即やめよそんなやり方!!

あと、家族については、もっと意地悪な自分、復讐心みたいなのもちょっとある感じ。。。俺も家族が心地悪かったように、家族も俺のことで金くらい困ればいいのに、みたいな。うわブラック。
けれど一方で、成熟した大人として自力で稼いで自立したいと思う気持ちも強く、親の過保護な面にも少し反発していたり。
あとは…本当なら、心配なんてかけたくない。世話になった人たちだから、「ちゃんと子育て終わったな」って、安心してほしい。

でもまた別の面では、とことん自信をなくしていて、まともなキャリアのない自分が経済的にしっかり自立して生きていけるのかと挫けそうな自分もいる。
この辺から派生して、男性ジェンダーとして稼げないなんて、というおばけの声や、吾郎さんとの未来を考えたときの現在地の情けなさに「他人と生きたいなんておこがましい、そんな資格なんてない」などと囁いてくるおばけの声などが重なってくる。

こんな複雑な思いが「お金」というものと関係していた。
お金について考えると、セクシュアリティの混乱や、体を壊すこと、実家との距離、パートナーシップの挫折などの痛みがすべて刺激されるような感じがある。

うわー、このお金と俺との関係性ほんとよくない。
「金は俺の人生を悩ませるもの」ってな感じで、お金にいい印象全然持ててないもんよ。。

お金というものに家族関係やパートナーシップ、セクシュアリティ、健康のことが複雑に絡んで、もうなんか呪われた巨木みたいなイメージになってる。。
ちょっとワークしてこの巨木になってみようかね…ってかこいつ俺では?
呪いを外したら銀色の木になるんじゃない?

昔に比べたら、自分が続けていける仕事で曲がりなりにも収入がある今はかなりマシにはなっている。講演メインでやり始めて2年目、単価も依頼数も上がってきた。
でもまだ十分生きていけるだけの総量が足りないって感じなんだよな。
もっと稼いでいいはずなのに止めている声があるのは、この巨木を覆う蔦が邪魔してる感じがある。

くっそ、絶対このあたりもクリアして、自分のままで十分稼げる自分になってやるんだからな!

今まですっ転びながら性も健康も家族やパートナーシップもどうにかやってきたんだ。
10年前に比べたら劇的に状況は良くなった。
きっと今回もよくできる。
金も克服してやる!!

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