後縦靱帯骨化症(OPLL)(指定難病69)

当法人の副理事長である薬学博士の清水 竜(しみず りょう)氏は本疾患の当事者であり、東京都脊柱靭帯骨化症患者会(http://osl-tokyo.com/)の会長も務めています。
後縦靱帯骨化症とは、椎体骨の後縁を上下に連結し、背骨の中を縦に走る後縦靭帯が骨になった結果、脊髄の入っている脊柱管が狭くなり、脊髄や脊髄から分枝する神経根が押されて、感覚障害や運動障害等の神経症状を引き起こす病気。骨になってしまう脊椎の部位によってそれぞれ頚椎後縦靱帯骨化症、胸椎後縦靱帯骨化症、腰椎後縦靱帯骨化症と呼ばれる。国内の一般外来を受診する成人の頚椎側面単純レ線写真からの調査では、骨化が見つかる頻度は1.5%から5.1%、平均3%と報告されている。しかし、レントゲン写真で骨化があっても必ずしも全員が症状を出すわけではなく、実際に症状が出現するのは一部。病気が発症するのは中年以降、特に50歳前後で発症することが多く、男女比では2:1と男性に多いことが知られている。また、糖尿病の患者や肥満の患者に後縦靱帯骨化症の発生頻度が高いことが分かっている。単一の原因で生じる病気ではなく、複数の要因が関与して発病すると考えられている。この病気に関係するものとして、遺伝的素因、性ホルモンの異常、カルシウム・ビタミンDの代謝異常、糖尿病、肥満傾向、老化現象、全身的な骨化傾向、骨化部位における局所ストレス、またその部位の椎間板脱出などいろいろな要因が考えられているが、原因の特定には至っていない。特に家族内発症が多いことから遺伝子の関連が有力視されている。これまでの家計調査や双子の調査などにより、病気に遺伝が関係している事は明らかで、患者の兄弟に靭帯骨化症が認められる確率は約30%と報告されている。ただし、患者の血縁者に必ず遺伝するわけではなく、遺伝のほかにもさまざまな要因が関係して発症すると考えられている。頚椎にこの病気が起こった場合に最初にでてくる症状として、首筋や肩甲骨周辺・指先の痛みやしびれがある。さらに症状が進行すると、次第に痛みやしびれの範囲が拡がり、脚のしびれや感覚障害、足が思うように動かない等の運動障害、両手の細かい作業が困難となる手指の巧緻運動障害などが出現する。重症になると立ったり歩いたりすることが困難となったり、排尿や排便の障害が出現したり、一人での日常生活が困難になることもある。 胸椎にこの病気が起こると体幹や下半身に症状がでる。初発症状としては下肢の脱力やしびれ等が多いようである。重症になるとやはり歩行困難や排尿や排便の障害が出現することもあり、また、腰椎に起こると歩行時の下肢の痛みやしびれ、脱力等が出現する。 すべての患者において症状が悪化するわけではなく、半数以上の方は数年経過しても症状が変化しない。ただし、一部の患者では、次第に神経障害が悪くなり、進行性の場合、手術を要することもある。また、軽い外傷、たとえば転倒などを契機に急に手足が動かしづらくなったり、いままでの症状が強くなったりすることもある。手術をしない場合、骨化によって圧迫されている神経を保護することが治療の主目的となる。頚椎ではまず安静保持を保つため、外固定装具(頚椎カラー)の装着等を行う。この時頚椎は快適な位置にあることが必要。高さの調節可能な装具が勧められる。また、首を後ろにそらせる姿勢は避ける必要がある。その他、薬物療法として消炎鎮痛剤、筋弛緩剤等の内服で自覚症状の軽減が得られることがある。 症状が重度の場合は手術治療をおこなう。手術方法は骨化の状態や部位に応じて様々な方法があり、頚椎では神経の圧迫を取るため骨化部位を摘出して、その部位を自分の骨等で固定する前方法と、骨化部位はそのままにして神経の入った脊柱管を拡げる後方法がある。一般的に後方法が選択されるが、骨化が大きい場合や頚椎の配列が不良な場合などにおいては前方法が選択されることもある。胸椎では背骨が丸くなっているため、後方法で脊柱管を拡げるだけではなく、ボルトなどを用いて固定を加える手術が行われることが多くなっているが、前方法が選択されることもある。腰椎では後方法が一般的。後縦靱帯骨化症は黄色靱帯骨化症、前縦靱帯骨化症を合併しやすく、骨化部位は縦方向や横方向に増大、伸展していく。骨化があればすぐに症状が出現するわけではない。症状のない方は定期的にレントゲン真検査をする必要がある。症状が重度になると、日常生活に障害がでて、介助を要することもある。また、いったん手術によって症状が改善しても、数年から10年程度の経過で、同部位かほかの部位の骨化が大きくなって、再度症状が出現することがある。そのため、この病気で手術した場合には、生涯にわたって定期的に画像検査を受けることが勧められる。

疾患の詳細はリンク先をご覧ください。

引用:希少難病ネットつながる理事長 香取久之

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