網膜色素変性症(指定難病90)

網膜色素変性症は目の内側にあってデジタルカメラでいえばCCDセンサーやCMOSセンターに相当する網膜という部分に異常をきたす遺伝性、進行性の病気。網膜は光を神経の信号に変える働きをする。そしてこの信号は視神経から脳へ伝達され、私たちは光を感じることができる。網膜には色々な細胞が存在していてそれぞれが大切な働きをしているが、網膜色素変性症ではこの中の視細胞という細胞が最初に障害される。視細胞は目に入ってきた光に最初に反応して光の刺激を神経の刺激すなわち電気信号に変える働きを担当している。視細胞には大きく分けて2つの種類の細胞がある。ひとつは網膜の中心部以外に多く分布している杆体細胞で、この細胞は主に暗いところでの物の見え方や視野の広さなどに関係した働きをしている。もうひとつは錐体細胞でこれは網膜の中心部である黄斑と呼ばれるところに多く分布して、主に中心の視力や色覚などに関係している。網膜色素変性症ではこの二種類の細胞のうち杆体が主に障害されることが多く、このために暗いところで物が見えにくくなったり(夜盲)、視野が狭くなったりするような症状を最初に起こしてくる。そして病気の進行とともに視力が低下してくる。ここで視力というのは、矯正視力(眼鏡レンズなどで、遠視、近視や乱視等を可能な限り補正して測定する視力)のことである。ちなみに、裸眼視力の変化は病気の進行や網膜の能力の変化の正確な目安にはならないと考えられている。網膜色素変性症といっても原因となる遺伝子異常は多くの種類があり、それぞれの遺伝子異常に対応した網膜色素変性症の型があるため症状も多彩である。網膜色素変性症の頻度は通常4,000人から8,000人に一人と言われている。網膜色素変性症は遺伝子の変化でおこる病気であるが、実際には明らかに遺伝が認められる患者は全体の50%程度であとの50%では親族に誰も同じ病気の方がいない。遺伝が認められる患者のうち最も多いのは常染色体劣性遺伝を示すタイプでこれが全体の35%程度、次に多いのが常染色体優性遺伝を示すタイプでこれが全体の10%、最も少ないのがX連鎖性遺伝(X染色体劣性遺伝)を示すタイプでこれが全体の5%程度となっている。この病気は視細胞や、視細胞に密着している網膜色素上皮細胞で働いている遺伝子の異常によって起こるとされている。以前は原因となる遺伝子がわかっているのは網膜色素変性症の患者全体のごく一部でしかなかったが、最近の研究で日本人に多い遺伝子の変化があきらかになって、解析の精度とスピードもアップしてきている。現在までにわかっている原因遺伝子としては常染色体劣性網膜色素変性症ではEYS、杆体cGMP-フォスフォジエステラーゼαおよびβサブユニット、杆体サイクリックヌクレオチド感受性陽イオンチャンネル、網膜グアニルシクラーゼ、RPE65、細胞性レチニルアルデヒド結合蛋白質、アレスチン、アッシャリン(USH2)などの遺伝子が知られている。なかでもEYS遺伝子に異常が見つかる例が比較的多いことがわかっている。常染色体優性網膜色素変性症ではロドプシン、ペリフェリン(PRPH2・別名RDS)が主なものとされている。X連鎖性網膜色素変性症では 原因遺伝子として網膜色素変性症GTPase調節因子(RPGR)とRP2の2種類が同定されている。今後さらに原因となる遺伝子異常が同定される見込み。遺伝子の変化をみてひとりひとりにあったカウンセリングや治療を目標として、効率のよい遺伝子診断法が研究されている。

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引用:希少難病ネットつながる理事長 香取久之



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