クッシング病(下垂体性ACTH分泌亢進症)(指定難病75)


副腎皮質ステロイドホルモンの1つであるコルチゾールというホルモンが過剰に分泌され、満月様顔貌や中心性肥満など特徴的な症状を示す病気をクッシング症候群という。このコルチゾールは生きて行くのに不可欠なステロイドホルモンで、下垂体から出てくるACTHというホルモンによって促進される。ACTHは、さらに上位の脳にある視床下部から分泌されるCRHというホルモンの調節を受けている。この視床下部CRH-下垂体ACTH-副腎コルチゾール系の中で結果的に副腎のコルチゾールが過剰に産生・分泌され特徴的な症状を示す状態をクッシング症候群という。クッシング症候群の中にもいくつか原因があり、ACTHが過剰に分泌され、その結果コルチゾールが増える状態をACTH依存性クッシング症候群という。さらにこの中で下垂体に原因がありACTHを過剰に出す病気をクッシング病、下垂体以外からACTHが過剰に分泌される病気を異所性ACTH症候群という。一方、副腎が原因でコルチゾールを過剰に分泌する状態をACTH非依存性クッシング症候群または副腎性クッシング症候群という。最近の頻度は不明だが、1965~86年にかけて行われた全国調査では平均して年に約100症例の新たなクッシング症候群が発症し、そのうち副腎性が50%、クッシング病が40%程度と考えられている(実際にはこれよりも多いと考えらる)。また、クッシング病は1:4で女性に多いとされている。クッシング病は下垂体にACTHを産生する腺腫ができてACTHの過剰分泌を生じることが原因と考えられている。ACTHを産生する下垂体腺腫がなぜできるかについては現在研究段階。ほとんどは遺伝しないが。まれに家族性となる例が報告されている。糖質ステロイドホルモンの代表であるコルチゾールが過剰に分泌されるため、長期にわたると前腕や下肢の皮膚が薄くなり、皮下の毛細血管が透けて見えてピンクのまだら模様になる。やがておなかが出ている割に大腿部が細くなってくる。さらにぶつけた自覚がなくとも皮下出血しやすくなり、顔もむくんだ赤ら顔になる。さらには多毛、にきび、腹部や臀部に赤い筋ができる。子供で発症すると背が伸びなくなる。うつ傾向もでてくる。ACTHが多くなると皮膚のこすれるところや関節部の皮膚が黒っぽくなる。病気が進行すると感染に弱くなり、敗血症で亡くなることがあるので注意が必要。これら典型的な症状以外にも多くの例で、高血圧症、糖尿病、脂質異常症、骨粗鬆症など生活習慣病と類似した合併症を発症する。原因のほとんどが下垂体腺腫であるため、手術的に下垂体腺腫を摘出することが最も良い治療法。ただし、ACTHを産生する下垂体腺腫は小さいことが多いため、通常のMRI検査で見つけにくい場合もある。一度手術をした後でも腫瘍が再発した場合には再度手術を考慮する。下垂体腺腫から産生されるACTHを確実に抑える薬がないため、手術療法で改善しない場合には内服薬や注射薬で効果のありそうなものを試すか、副腎に作用して直接にコルチゾール産生を抑える薬を用いる場合もある。下垂体腺腫に対して放射線療法を試みる場合もあるが、副作用として正常な下垂体機能が損なわれる下垂体機能低下症を発症することがあるため注意が必要。

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引用:希少難病ネットつながる理事長 香取久之



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