ウィリアムズ症候群は、成長と発達の遅れ、視空間認知障害、心血管疾患(特に大動脈弁上狭窄)、高カルシウム血症、顔貌の特徴などをもつ症候群である。患者数は1~2万人に1人と推定されているが、心疾患がない場合などでは、まだ診断を受けていない人もいると考えられる。先天性心疾患(特に大動脈弁上狭窄、肺動脈狭窄)の発見を契機として乳幼児期に診断されることが多い。人種差や性差はなく、どの両親の子どもとしても生まれてくる可能性がある。7番染色体(7q11.23)の微細な欠失(顕微鏡では発見できないほどのサイズ)が原因である。この欠失範囲には約20個の遺伝子が含まれるが、その中でエラスチン遺伝子の欠損(正確には本来2つある遺伝子が1つになる)は大動脈弁上狭窄などの心血管疾患に、そしてLIMK1遺伝子の欠損は視空間認知障害に関係するといわれている。ほとんどは親から受け継いだのではなく、突然変異での発症であり、次子への遺伝性はない。本人の子供には50%で病気を伝える。成長と発達面では、低身長(軽度)、発達遅滞、認知特性(過敏性、音楽への嗜好、視空間認識の弱さ)が認められる。身体面では心血管疾患(大動脈弁上狭窄、肺動脈狭窄、心房・心室中隔欠損)、腎泌尿器疾患(腎奇形、腎石灰化、膀胱憩室)、内分泌疾患(高カルシウム血症、甲状腺機能低下、糖尿病)、消化管疾患(胃食道逆流、便秘、直腸脱、結腸憩室、ソケイヘルニア)、眼科疾患(斜視、遠視など)、耳鼻科疾患(難聴、中耳炎)、整形外科疾患(脊椎湾曲、関節弛緩(幼少期)、関節拘縮(青年期))、歯科疾患(矮小歯、咬合不全)などがある。根本的な治療法はないが、定期診察を通じて合併症に早期対応していくことが大切である。また、理学療法、作業療法、言語指導、心理カウンセリングなどの療育的な支援にも必要。身長は小柄で軽度の低身長のことが多い。運動発達は通常より遅く、歩行は2歳ぐらいが平均である。乳幼児期には摂食障害(離乳食の進みが遅い、偏食が強いなど)、夜眠らないなど、過敏性が目立ちやすいが、徐々に安定していく。学童期では、注意欠陥、不安障害などのために心理カウンセリングを含めた対応が必要になる場合もある。知的発達の遅れは軽度から中等度であるが、着実に成長していく力がある。身体合併症では肺動脈狭窄は年齢とともに軽快する傾向があるが、逆に大動脈弁上狭窄は進行する可能性もあり、継続的な評価が必要。成長につれ、側弯、心臓弁異常、膝腱やアキレス腱の拘縮(硬くなる)、高血圧、糖尿病、膀胱憩室、難聴の進行などにも注意が必要。身体面では、特に心血管系合併症への注意が欠かせない。必ず循環器専門医による定期診察を受けること。また、直腸脱(直腸が肛門外に出ること)を起こすリスクもあるので、便秘にならない注意も必要である。視空間認知の弱さについては、例えば靴の左右をカラーテープで色分けするなど、物の位置を把握しやすい援助も効果的である。不安が強いときには無理強いをせず、楽しく受け入れることができる段階に課題を調整して成功感が得られるような配慮もよい。また、苦手なことよりも、好きな音楽などの活動をしっかり伸ばすことを通して、本人の楽しみと自信を育むことも大切である。

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引用:希少難病ネットつながる理事長 香取久之



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