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またきっといつかどこかで 7

「やまもっちゃーん」

「おお、桜庭、どうしたん?」

「あのさ」

「ん」

「ランランのことなんだけど」

「うん」

「やまもっちゃん、今は友達って感じだって」

「うん、、、は?」

「今はまだ友達って感じだって」

「え、お前、ほんとに聞いたんか?マジで、いや、バカなの?」

「まあまあ、次行こ、次!」

「俺ですら返事まだ聞いてないのに!」

「ははは、まあいいじゃん」

「いや、ちょっとマジで、そういうとこやぞ!」

「まあまあ、いいじゃん」

告白からしばらく時は経ち
僕らは2回生の春を迎え、
新歓活動に勤しんでいた。

「新歓は2回生が中心にやってもらうから、やまもっちゃん頼んだよ」

「はい、頑張ります」

桜庭の言う通り、たしかにまあいい部分もあった。
あれ以来、ランランは談話室に戻ってきていた。
どうやら森下先輩とも別れたらしい。

ランランが戻ってきたし、まあいいか。

同回生の皆で飯食ったり、酒のんだり
ドライブ行ったり
僕らはそれこそ大学生をしていた。

楽しい分、単位を落としたりして。

ランランとも特に気まずくなることもなく、
むしろ新入生を誘って一緒に飲みに行ったり
僕らは自然でいた。

「山本さんと藤岡さんって仲いいっすよね」

「あれですか?付き合ってないんですか?」

「いやいや、付き合わないね!」

「まあね、付き合わないね!」

そうやって自分たちの中でネタにできるぐらいに
平和な日常が、ダラダラと過ぎていく。

「次の部長はやまもっちゃんだな」

特に取り立てて楽器が上手いわけでもなく、

「軽音楽部の部長って代々留年してるから気をつけなよ」

談話室にいて、みんなと楽しく過ごしていたら

「穏やかでしっかりしてるし、大丈夫大丈夫!」

いつの間にか、自分の中で、

軽音楽部がとても居心地良く、大切な居場所になっていった。

嫌なことがあっても

悲しいことがあっても

談話室に行けば、誰かがいて、

楽しいことは皆で共有して。


「やまもっちゃん」

「どした?」

「まだ、私のこと好きでいてくれてる?」

「え、あ、うん」

「まだ間に合いますか?」

「付き合わないっていってたじゃん」

「そっちこそ」

「まあまあ、いいじゃん」

「そだな、まあいいとしよう」

えーと

「これからもよろしくおねがいします」


幸せな日々が

穏やかな日々が

ずっと続けばいいのに。


・・・・

それは、ほんとにずっと続いたんだ。
僕の大学生活は、幸せで、楽しかった。








「きょうちゃん、私なんでここにいるの?」


「・・・え?」







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