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LayerXの理想の営業組織を夢想する。 AIとデータによる営業生産性革命

どうも、すべての経済活動をデジタル化したい、LayerXの福島です。本日はLayerXの営業組織の理想像について語りたいと思います。

※この記事はLayerXセールスアドベントカレンダーの記事です。そのほかの記事は #LayerX営業のミライ というハッシュタグで閲覧可能です。

はじめに

Salesforceさんが「The Model」を発明し、国内でもキーエンスさんが「キーエンス流営業」で生産性の高い営業組織のあり型を示したように、LayerXも「LayerX流の営業組織」のあり方を作っていきたいです。LayerXはどうしてもエンジニアリングやプロダクトのイメージが強い会社ですが、「営業組織」としても業界をリードするような会社になりたいと思っています。

具体的には"データとAIによって営業生産性が増幅される組織"を3年以内に作り上げたいと思ってます。この営業組織の型は、「LayerX型営業組織」と呼ばれるようになり、あらゆる会社が「当社はLayerX型営業組織を採用してます」としたくなるような、そんな新しい業界標準になるものにしようという意思で作っていきます。

LayerXの目指す理想の営業組織には4つの主要素があり、それは「周辺業務の自動化」「アサインの精緻化」「評価の精緻化」「商談の再現性」です。この理想像を今後3年で必ず実現します。

1つ1つ具体的に見てみましょう。

周辺業務の自動化

営業が"営業"に集中できる状態を作ります。なにをいってるんだと思うかもしれませんが営業は、営業以外の業務に忙しいのです。

上記の記事によると、なんと一般的な営業は、35%程度しか営業活動に時間を割けていないとのことです

経費精算、請求書処理、契約書送付などの管理業務、商談後のSFA入力、商談前の顧客の定性調査、SFA上での申し送り事項の確認、セキュリティチェックシートの記入…etc

営業活動の質を担保するために絶対必要な周辺業務ではありますが、営業の本質はやはりお客様と話すこと、商談にあると私は思います。

LayerXではLayerX Biz Boostという仕組みで、すでに「商談の自動書き起こし」(→将来的にはここからSFAへの自動入力をしたい)や「セキュリティチェックシート一次回答」などに取り組んでいます。

また社内でBiz Opsと呼ばれているチームが、営業のさまざまな周辺実務の自動化に取り組んでいます。

今後はLLMを活用し、AIが商談企業様のIR情報やインタビュー情報・電話のコール内容などを集約して事前リサーチや課題抽出を行っておき、営業はそれを確認するだけみたいなこともやっていきます。

むこう3年でさらに精度や強度を高めて、徹底的に周辺業務を自動化し、営業が「営業」に集中できる環境を作っていきます。

アサインの精緻化

当社の営業スタイルは「The Model式の分業スタイル」x 「コンパウンドスタートアップとしてのマルチプロダクト」という特徴があります。ここにデータとAIによるアサインの精緻化を加えていきます。

営業の質を高める上で、リード化されたお客様に対して「どの営業」が「何のプロダクト」を「どの課題訴求(ユースケース)」で提案するかのマッチング精度が肝になります。ここのマッチングにAIとデータを活用していきます。

仕組みのイメージとしてはリード化されたお客様の「行動情報」(どのチャネル経由か、どんなホワイトペーパーを見たか、LP上での動き、フォームの内容etc)、「基本情報」(従業員数、売上高、インダストリーetc)から「購入確度の高いプロダクト(プロダクト毎の期待受注率)」と「期待MRR」をAIが予測します。

営業は事前にスキル表(自分は請求書と法人カードの提案は得意だが、経費精算は苦手みたいな)を作っておき、最適なリード・商談とのマッチングをします。

期待MRRはセールパイプラインを進むごとに再計算して、その都度その都度でもっとも精度が高い状態でマッチングされるようにします。

当社の営業の特徴はクロスセル、アップセルが多いことです。
クロスセルに関しては「どのお客様に」「何の製品を」提案するかのタイミングが肝です。SFAにある基本情報に加えて我々は製品上でのデータが強みになります。

いわゆるサービスの満足度をあらわすヘルススコアにくわえて、ストレージに保存された帳票の種類(請求書、レシートなどの枚数、多いほど個別appへのニーズも強い)、ワークフローからわかる組織図情報(営業が作成するパワーチャートに繋がる)、決済データからわかる購買の傾向などプロダクトのデータを活用することで、新規営業の段階よりも高い精度で「どの製品」にニーズがあるかを予測できます。

これを的確にAIが示唆することで、クロスセル・アップセル営業を支援します。

LayerX型営業組織ではオンボードやサポート業務もセールスの起点と考えます。実際の現場でもお問い合わせ対応からクロスセル、アップセルに繋がったという事例が散見されます。これを科学的に再現可能な形に落とし込んでいきます。

具体的には全てのサポートチケットに対して、「誰が」問い合わせ対応するのか最適化を割り当て、サポートの品質を高めることでユーザー満足度を高めます。場合によってはAIから「これはクロスセル機会にもなりうる」とサジェストし、それを念頭に置いて対応を行えるようにします。

評価の精緻化

営業の評価の考え方も変えます。獲得商談件数、受注額といった絶対額ではなく、AIが予測する期待MRRという期待値をベースにした評価に変えます。

具体的には、インサイドセールスであれば、「獲得商談件数ではなく、獲得期待MRR」で評価します。フィールドセールスであれば、「割り当てられた商談の期待MRRに対して実績MRRがどれだけアウトパフォームしたか」が評価の基準になります。

絶対額の評価には問題があります。割り当てられるリードや商談による不平等です。

例えば営業エースであれば、難易度の高い案件・新規プロダクトの新たなユースケースの開拓・絶対に取りたい業界リーダーのお客様の案件など難しいリード、商談を割り当てられがちです。会社としてはエースにこそそういった価値の高い商談をしてほしいからです。一方で、リードの中にはほぼ指名検索できて、買うことも決めてるようなお客様も存在します。どちらを受注しても1件は1件、1円は1円です。しかし評価という枠組みで考えると前者の商談を私は評価したいです。

AIやデータを活用というと一見冷たく聞こえるかもですが、私は営業が起こす奇跡を見るのがとても好きです。私は会社を経営する中で営業が起こす数々の奇跡を見てきました。かくいう私もプロダクト立ち上げ期は最前線で営業をしていました。その中で幸運にも自分が奇跡を起こせたこともあり、その時の嬉しさはいまの経営のモチベーションにもつながっています。

「競合受注でほぼ決まりの中、形式的な相見積もりで呼ばれた中でひっくり返して受注してきました」
「解約しますといっていたお客様の真のニーズを掘り起こして逆にクロスセルしてきました」…etc

こういった奇跡こそ営業が誇るべき「介在価値」であり、そこをしっかりと評価する会社でありたい。そのためにAIとデータを活用するのです。

商談の再現性

最後が商談の再現性です。過去の商談動画を学習したAIが先生となって商談の質を上げるアドバイスをどんどんくれるようになる。そんなイメージです。

適切な比喩かはわからないですが、とある本で読んだ"AIによる指導は「カラオケ」のようなもの"という比喩がわかりやすかったのでここで紹介します。

カラオケで曲を歌うと、機械が採点してくれます。また音程、音量、テンポなどここをこう改善するといいよといった改善ポイントも示してくれます。

これの営業版を作りたいんです。

近年では、リモート営業が一般化し、電話の会話内容、商談の動画がデータとして残るようになりました。

弊社でも、毎週「これはよい模範となる」と思う電話の会話内容や商談動画をピックして、各自がそれを見て、聞いて学習するという文化があります。過去の商談データは、営業にとって宝の山なのです。

AIであれば商談動画を数個にピックせずとも、「全ての」商談動画をチェックできます。またその後、"トライアルに進んだ"、"受注した"、"クロスセルにつながった"などの結果のデータとも紐づけて学習できます。

そこから「受注した動画にはこういう特徴があった」というような学習ができるはずです。

営業が毎回商談するたびに、カラオケで採点されるように、「今回の商談は何点だった」「改善ポイントはここ」「改善ポイントを学ぶための教材はこれだよ」という採点・提案をAI先生がしてくれます。

例えば、質問に対する回答が良くなかった時、過去の商談動画から似た質問に対してうまく回答できている部分の商談動画を引っ張ってきてくれる、といったような具合です。

こうすることで、自律的にどんどん営業力を上げていける環境を作ります。

もちろんデータがまだ不十分な新しいユースケースでは熟練の営業エースと一緒に伴走してtry&errorを繰り返すということもやっていきます。ですが、いずれそこもデータが溜まりAI先生が判定してくれるように変わっていきます。

こうして鍛えられたAI先生は、営業チームにとって頼もしい仲間になると思います。

余談ですが、将棋や野球といったプロスポーツの世界ではすでにAIやデータが先生となってパフォーマンスをあげています。将棋の藤井聡太先生はAIを活用して将棋を勉強していくことで有名ですし、MLBの大谷翔平選手もデータを活用して自分の投球やバッティングを改善しているらしいです。

このようにAIやデータが先生となり、そこをつかって突出したパフォーマンスを追求するといった流れは確実にビジネス界にも流入してくるトレンドだと思っています。

おわりに

今日書いたことはLayerXではまだまだ実現できていないことばかりです。
LayerXでは先人たちに学びつつ、学んだものをLayerXらしい(テック、データ、未来志向)やりかたでさらに新しい型にアップデートしていきます。

いつかここで書いたやり方が、どこの会社でも営業のスタンダードとなっていくような、そんな新た強い営業組織の未来をつくっていく組織を目指しています。(noteの内容をまとめたSpeaker Deckを置いておきます)

ここで書いた世界観は3年以内に必ず実現します。

この正解を一緒に作っていきたい、仕組みを作る側に回りたい、こういった環境の中で思う存分に営業したいという仲間を絶賛募集中です。

(当社の営業部長のOpendoorです)

12/6に営業チームのミートアップをやります!


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