LayerXのミッションを再定義しました


はじめに

どうもLayerXの福島です。今回のnoteではLayerXのミッションの再定義の意図、ミッションを決めていく中でどんな事を考え、何を優先し、何を諦め、結果そのプロセスの中で改めてこういう社会にコミットしていきたいんだというものが自分の中でも再整理できたため、その過程をメモがてらnoteにしておこうと思います。

きっかけ

LayerXの改定前のミッションは「Evaluate Everything」です。ブロックチェーン技術が作っていく信用の再編、価値の再編が起こった後の社会では、すべてのものが評価できる、される社会だよねという思いを込めて作った、それなりに考え抜かれた言葉でした。

しかしある日、採用で、クライアントとの面談で、社内で、LayerXさんが目指してる社会ってどんな社会ですか?どんなことを実現していく会社なんですか?と聞かれたとき、ミッションについて語るわけです。「LayerXのミッションはEvaluate Everythingで...」

その時、気づいてしまったのです。相手がめちゃくちゃぽかんとしていることに。

客観的に見ると、たしかに初対面でどんな社会にしたい?どんな会社でありたい?に対して「Evaluate Everything!!!」と説明されても共感されないよな、何を言ってるのか説明が必要だよなと感じたのが、今回のミッション再策定プロジェクトのきっかけです。

そもそもミッションとはどうあるべきか

そんなきっかけから始まったミッション再策定ですが、せっかくなら、しっかりものにしたい。

しっかりしたものというのはミッションという単語だけではなくその背景にある狙いやこう決めるべきという意思決定プロセス、ミッションの裏にある「ミッションの決め方」をしっかりしたいと思ったのです。

後々仮にミッションを再アップデートすることになったとしても、会社としてブレずに明確にこういう理由でこのミッションにしている(していた)、そしてこういう理由でアップデートする、その土台にある考えはこうというものがあれば、今後もぶれないだろうなあと思ったからです。

以下MECEではありませんが箇条書きに考え方の土台を記していきます。

ミッションは誰のためにあるべきか

実はここを決める、とほぼすべて決まるのではないかと思います。いろいろミッション策定で議論しましたが結局はここを決めたことが、最後までぶれない軸となっていました。

ミッションを考えていく中で、ミッションには主に3種類のタイプが存在するなと感じました。

自己宣言型 => 自分たちの会社はこうありたいと宣言するタイプ。今いるメンバーのテンションが上がるようにあえて「内向き」な言葉を使う。

未来の仲間型 => 未来の仲間(特に採用候補)にささるように会社のやり方を伝えるタイプ。特定のコミュニティにいる人に刺さる「濃い」言葉を使う。

社会的絶対善型 => この会社があることで社会に起こる効用、意義を説明するタイプ。ステークホルダーが多様で複雑な会社が、世の中に「存在意義を簡易な」言葉で伝える。

LayerXではミッションを策定するとき、「共感される」ミッションにしようというところは決まっていました。ですが考えていくうちに具体的に「誰」に共感されたいのか、「社内」なのか「採用候補」なのか「クライアント」なのか「社会」なのか...そこが曖昧でした。

事業をやっていく中でLayerXの課題に「何をやってるかわかりにくい」「重い産業を対象とするので必ずパートナー企業が必要。法規制などもかかわる」というものがありました。また長い時間軸で世の中を変えていく必要がある、腰を据えてしっかりやり、社会に応援される存在でないとこの事業は成り立たないという前提がありました。なのでそういった課題をサポートするミッションであることに重きを置きたいよねと議論の末、着地していきました。

結果「社会的絶対善型」のミッションで行こう。それは、難しいテクニカルタームをいれるのではなく、わかりやすく平素で、20年30年たっても意味が廃れず、むしろ言えば言うほど重みが増していくような言葉にしようと決ままりました。

我々のミッションの共感されたい向き先は「社会」に決まったわけです。

ブロックチェーンという単語や、グローバル・海外(or 国内)というあえて領域を絞るような限定的な単語を入れるべきかどうか

些末なようにみえますが、非常に悩んだ点です。例えばLayerXは今、ブロックチェーンかつ国内にフォーカスしています。またそこを最初にやるという強い理由、確信ももっています。

ミッションはアップデートされる前提で、あえてそういった単語を入れることで強い言葉にするという選択肢もありました(ex. ブロックチェーン技術で、日本の生産性を改善する etc)

一方本質的にやりたいことでかんがえると、ブロックチェーン技術を基軸に周辺のデジタル技術の活用であったり業務フローをデジタル前提に再構築することで、重い産業のDXを推進することがやりたいことであります。その順番として国内が先にくる、ブロックチェーン関連のPJが先にくるということはあれど、グローバルにやる、ブロックチェーン以外の技術、ビジネススキルを使い「課題を解決する」ということを考えると狭めるべきでないという議論もありました。

ここでは最初の議論に振り返り、「誰のため」のミッションかに立ち戻りました。

そうなると議論はシンプルで、「社会」はブロックチェーンかどうかは気にしないよね、「社会」はLayerXが国内でやってようがグローバルでやっていようが気にしないよねと感じました。

それよりも、こだわりを外してあえて「誰にでも伝わる」「社会的絶対善」をLayerXなりの言葉で伝えるのが今回のミッションだよねという結論になりました。

ミッションの定義

あんまりやりすぎてもしかたないのですが、今回せっかく時間とコストをかけて再策定するので、LayerX社にとってのミッションの定義を決めました。

ミッションの定義はシンプルに、「会社の存在意義」。重さとしては「その社会が仮に実現したらLayerXは解散してもいいよね」と思えるくらいの存在意義をミッションの定義にすることにしました。

またLayerXには5つの行動指針もあるのですが、今回あらためて、これらは行動指針であると再定義し、また言葉の定義にずれがないように、具体的にはこう行動してほしい行動指針であるというものも再定義しました。

表現は自分たちで考えるか、プロに任せるか

今回最も重きをおいたのは「社会に共感される」です。僕はかなりマイノリティでニッチな人間なので、自分の考えた言葉がわかりやすく社会に共感される言葉になるとは思えませんでした。

ですのでベースの考え方を整理した上で、表現はPARK(https://parkinc.jp/)の田村さんに協力してもらって、プロのコピーライターとして表現をねっていただきました。その中で、共感度が高そうなものを選ぶという形を取りました。

(これも例えば、社内が熱狂していればいいんだという考え方なら、自分の言葉で考えたと思います)

ミッションを決めるプロセス

①役員+会社に思いが強いメンバーを様々な部署からピックし、コピーライターの方にインタビューしたもらいました。話す内容はお互い連携せず独立に話しました。

②一度いろんな変数の観点で、インタビューをまとめたものを出していき、その中で、論点、「誰に共感されたいの?」「限定的なワードチョイスを使うか?」など含めて方向性を絞っていきました。

③最後に、その方向性の中で、ワーディングしてもらい、一番しっくりきたものを選びました。

こうやるとふつーのことしかしとらんやんとも思われるかもしれません。

僕がミッション策定で思ったことは、ミッションとはなにかかっこいい言葉を探す、真新しい価値観をブレストするものではないということです。

社内に自然とある価値観。わざわざお互い確認しなくてもこれが大事だよね、これをやろうとしているんだよねというものを「自然と」抽出したもの。

それを人数が多くなったとき、目の前の様々な要因で迷ったときに「言語として」立ち返られるコンパス・地図みたいなものがミッションなのだなあと改めて思いました。

インタビューを通じて語られた内容は、それぞれのメンバーがそれぞれの言葉で、お互い驚くほど同じことを話していました。

その言葉を、社会に共感されやすいような言葉に落とし、社内共通の価値観と、社会全体の価値観の接地面をさがす。そんな作業がミッションを「言葉に落とす」ということだなと改めて感じました。

ミッションに込めた思い

そんなわけで、LayerXの再策定されたミッションは「すべての経済活動を、デジタル化する。」に決まりました。

ミッションに「ブロックチェーン」という単語はあえて入れてませんが、「すべての経済活動を、デジタル化する。」ためにはブロックチェーンが欠かせない重要テクノロジーだと我々は信じています。

インターネットが登場し、20数年。産業の形は大きく変わりました。今のインターネット産業を「情報」のインターネットとするなら、ブロックチェーンは「価値」のインターネットです。「情報」を扱う産業、たとえばメディアやEコマース・ゲーム、はこの20年で大きく変化しました。一方「価値」を扱う産業は、インターフェースこそデジタルになったもの、その裏側の業務は以前アナログのものが多く残っています。

「価値」のインターネットは、今までソフトウェアが入り込めなかった、レガシー産業、規制産業を大きく変えていく可能性があります。契約業務、決済業務、送金業務、重要情報の監査性向上、重要事項の検証性向上、契約の自動執行など、世の中には「信頼」+「人手による運用」で成り立っている業務が大量にあります。複雑な業界であればあるほど、ここに複数の利害関係者が入ることで、デジタル化を推進することが難しい現状を生み出しています。

この国では、人口減少・働き方改革等、世の中の仕事に対する前提が大きく変わっていく中で、生産性向上が大きなイシューとなっています。我々はブロックチェーン技術を基軸に、こういた現状を改善できると信じています。

ブロックチェーンは、「検証可能」で「改ざん不可能」なトランザクションデータを保存し、複数の機関が互いに単一で統合されたシステムでビジネスを実装できることができるオープンな分散台帳です。

ブロックチェーン技術は今までコラボレーションするのが困難だった企業の間での、ビジネスロジックの共有とデータの共有をすることで、複数社間の確認作業や突合作業の煩雑さを解消します。

その結果今まで、デジタル化することが難しかった業務をデジタルに合わせた形で再定義していくことで、レガシーな産業や規制産業のDX(デジタルトランスフォーメーション)を手助けしていきます。

我々は、まずは金融業界にフォーカスを絞り、その後価値を扱う様々な産業にソリューションを展開していきます。

その結果すべての経済活動がデジタルに、大企業のみでなく、中小企業も、個人もその恩恵が受けられる世の中にコミットしていきます。

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LayerX CEO, Gunosy創業者, エンジェル投資家。大学時代はコンピュターサイエンス・機械学習を研究していました。テクノロジーを武器にしたスタートアップエコシステムの拡大に人生を賭けています。