確実にくる未来まで「なんとかする」力

ベンチャーに必要な力

今回は、僕の起業家としての経験、上場企業の経営経験、エンジェル投資家としての経験から、LayerXの経営者/起業家として大切にしている価値観、考えについて書こうと思います。

ベンチャー企業に必要な力とはなんでしょう?

未来を見通す力?採用力?資金調達力?社長のカリスマ性?天才的なエンジニアの存在?プロダクトをみがきこむ力?etc

僕は 確実にくる未来まで「なんとかする」力 が最も重要と考えています。

未来を見通すのは(意外と)難しくない

世の中では未来を見通す力というのが過大評価されている気がします。

実は未来を見通すのは難しくなく、しっかり頭の良い人が考えれば大体予測できます。

ニュースは人でなく機械に選ばれるようになる、ニュースはスマホで読まれる、金融のインフラはブロックチェーンに置き換えられる、車は自動運転と配車マッチングというサービスに置き換わる、ブランドはインターネットを通じダイレクトに売られる、食材はレシピというメディアを通じて再統合され何を作るか、から何を買うか配送まで一気通関になる、東京で売買される家はほぼリノベになる、CtoCはダイレクトにつながり希少財は投資的なプラットフォームになるetc

これらはほぼ間違いなく10年以内に全て実現します。そしてこれらを予測すること自体は僕はさほど難しくないと思います。一方、上記の領域でビジネスを作り、成功できるかというとそう簡単ではありません。これらが未来に確実にくることをわかっていても全てを自分で作ることはできません。

つまりここの差。未来を見通す力と、そこまで「なんとかする」力にあるギャップをこそが起業家に、ベンチャーに真に必要な能力なのではないでしょうか?

ブロックチェーンを例に取ると、ブロックチェーンが金融のインフラになるということに異論がある人はあまりいないでしょう。ですが、いまブロックチェーンの会社を始めること、投資することにネガティブな人は多いはずです。

なぜなら現段階では(多くのケースにおいて)既存インフラの効率性に負けたり、置き換えコストをペイできないからです。

では技術や環境の進歩を待ってから参入すればいいのか?それも否です。

AmazonがEC化率が十分に上がり、インターネットが普及し、インターネットでの決済インフラやクレカ登録率が上がり、よしこのタイミングで参入だ、というようにしてたら今のAmazonを作れたでしょうか?

僕は作れないと思います。AmazonがAmazonたる理由は、まだ世の中がECに対して否定的、効率性でもほとんどの領域で負けていて、成り立たない時期に参入し、「なんとかした」から王者になったのです。

「なんとかする」力

では、「なんとかする」力とは何でしょうか?

それは現段階ではほとんどの領域で効率が負ける「新概念」が唯一、効率で勝る領域を見つけ、そこでキャッシュポイントを作ることです。

Amazonの場合それは「本屋」という領域でした。

LayerXの場合は、ブロックチェーンの最初の応用例は金融であると確信し、金融機関に必要なパーツを売るサプライヤーになることが、それだと考えています。実際はもう少し具体的でピンポイントな仮説は持っているのですが、詳細は我々にぜひ会いに来て聞いてみてください。笑

もちろんすべての金融のパーツがいますぐブロックチェーンに置き換わって効率が勝るとも思っていません。なのでここは非常に精緻な情報収集、技術とビジネスのフィジビリ、既存システムや構造の理解、ビジネスの構造、世界情勢や法規制の変化など膨大な情報を最先端で手に入れて初めて正しいピンポイントがわかる類のものだと思っています。(LayerXはそういった見晴らしの良い場所にいることを重要視していますし、不遜な言い方をするならば現在ブロックチェーンの領域で唯一これができているベンチャーです。)

もう一つはその効率性をテコに資本市場を活用して、取れるリスクの幅を広げていく力も重要です。成功してる会社は例外なくこれができてます。(LayerXではそういった勝負の到来に備えて、エンジニアだけでなく、経営陣の充実もすでに準備済みです。)

そしてそこでビジネスが回ると、売上が拡大する、ファイナンスにより取れるリスクが広がる、そこの機会を求めて人材が集める、必要なネットワークエフェクトが構築され防御網ができるといったサイクルが回りはじめます。

確実に来る未来で起こること

そうやって「なんとかした」会社には、確実に来る未来で大きな機会が手に入ります。

技術の進展や、外部環境の変化、法体系の整備、人々の認識の変化などで少しずつ他の領域でも「新概念」の効率性が勝るということが起こり始めます。

Amazonにおける「ECという新概念」を例にとると、初めは本屋でしか効率性でかてなかったAmazonが、ゲームや日用品など様々なものに侵食し、今では生鮮食品や車、家、医薬品などが売れるようになります。またそこに至る過程で手に入ったインフラは今や「AWS」として、Amazonで最も高収益なビジネスに転換しています。

ブロックチェーン×金融の領域でも、初めはみなさんが想像するよりも、地味で、低付加価値な領域からまず変わっていくでしょう。ですがそこで少しずつ入り込んでくる新概念はいつか様々なシステム、インフラに侵食し、金融領域の業務フローを根本的に変えてしまうような、そんな変化が起こると思っています。

こういった確実にくる未来まで、「なんとかして」命を繋いで、ノウハウを得た会社は「新概念の世界においては最強の会社」になっています。そしてその新概念が覆いこむ全ての領域を最大効率で飲み込んでいきます。

これが今をときめく、プラットフォームやエコシステムなるものの正体だと僕は考えています。

LayerXで大切にしたい経営者としての価値観

未来を見通すのは難しくない、そこまで生き延び「なんとかする」ことがむずかしく、それこそが起業家のアルファであると僕は考えてます。

そのために、針の穴を通すピンポイントの事業を見つけ、そこを軸にファイナンスして、リスクを広げていく。

採用も、ファイナンスも、その他すべてのリソース調達もすべては、このピンポイントでしか成り立たない事業をなりたせ、確実に到来する未来に備えて、早く準備をするためです。

そうすることで確かにその未来が来た時に、その時代における最強のプレイヤーとして、国に貢献できる、社会に貢献できる、世の中をもっとよくする、そんな面白い機会にあふれた会社にすることが、LayerXで大切にしている価値観であり、戦略や戦術、事業選定の根幹になっています。

採用積極募集中

そんなわけで、確実にくる未来まで一緒に「なんとかしてくれる」仲間を探しています。

特にコンシューマー向けで鍛えたスキルを、より社会インパクトが大きい領域、経済インパクトが大きい領域に適用して新しいキャリアパスを築いていきたいエンジニアを特に募集しています。

少しでも興味を持った方はまずお茶からでもお願いします。


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